原発からの処理水放出に伴う中国の禁輸措置で行き場を失う青森県産のホタテ。このほど新たな販路としてシンガポールに輸出され、11日、現地で試食会が開かれました。「香りやうま味の強い」県産ホタテの特徴を生かした料理が常夏の島で誕生です。

青森県産ホタテを使った料理を提供するのはシンガポールのレストラン「LaD''Oro(ラドロ)」です。11日は現地とオンラインで結んで輸出した青森市の加工業者などの関係者が試食会の様子を見守ります。青森市にあるホタテを中心とした水産物の加工業者「小田桐商事」が行き場を失う県産ホタテの新たな販路を探る中、輸出支援に力を入れる七十七銀行の協力で初めてシンガポールへの輸出が実現しました。

地元を応援したいと県産食材を積極的に取り入れる八戸市出身の佐々木洋平オーナーシェフが手がけたのはカぺサンテ・インパナータです。昆布締めした県産ホタテを炭を使った自家製のパン粉でさらっと揚げたイタリアンは素材の特徴を存分に生かしました。

LaD''Oro オーナーシェフ 佐々木洋平さん
「口の中に入れた瞬間にホタテのジュース(汁)とうま味、あとは青森県産のホタテが弾力性があるので噛むことによってホタテの旨味と香りが広がる」

七十七銀行 小林英文頭取
「本当に味がしっかりしている。非常においしい」

レストランでは今後、週に3キロから5キロほどの県産ホタテを使っていく予定で輸出先が大幅に減り困っていた加工業者も安堵の表情です。

小田桐商事 岩谷孝代表取締役
「大変ありがたくうれしく思っております。当然我々は青森県産のホタテは日本一だと自負していますのでこれをきっかけにどんどん(輸出先を)増やしていければいい」

県産ホタテを巡っては10月、県が企画して農林水産省の食堂でホタテを使ったメニューが提供されたり青森市の西秀記市長が10日学校給食でホタテを提供すると発表したりするなど行政も積極的な支援を行っています。

県産ホタテの輸出は8割以上が中国向けでその行き場がなくなった今、新たな販路の開拓が急がれています。