商用車2大陣営時代到来。燃料電池車では協業

いすゞ自動車は燃料電池車について、大型トラックはホンダと共同開発を行い、2027年度をめどに市場に導入する予定だ。小型トラックはトヨタ自動車、日野自動車とともに開発を行っており、東京都などで実証実験を行っている。

――それぞれ狙いが違うのか。

いすゞ自動車 南真介社長:
燃料電池ということでは日本のメーカーがかなり進んでいるということをベースにして、トヨタさんとホンダさんがかなり積極的にやっておられたので、我々としては両方お付き合いして、将来の可能性に賭けていくという形になっています。

商用車を取り巻く環境が大きく変化し、先行きが見通せない中、2020年代に入り、業界再編の動きが出てきている。いすゞ自動車はスウェーデンのボルボと提携し、2021年にボルボの子会社、UDトラックスを買収。2023年5月には、トヨタ自動車の子会社の日野自動車とドイツのダイムラートラックの子会社の三菱ふそうトラックバスが経営統合で基本合意した。これにより、日本の商用車業界はいすゞとUDトラックス、日野と三菱ふそうの二大陣営の形となった。

――日野自動車と三菱ふそうが経営統合するというニュースを聞いてどうだったか。

いすゞ自動車 南真介社長:
我々の同業で日々お付き合いしている方が一緒になるということでびっくりしました。日野自動車さんとはいろいろな場面で協業といいますか、現実的にバスの生産も一緒にやっていましたので、非常に驚きました。

――これから国内は二大陣営という形になったが、この先その二つが競い合っていくという形を描いているのか。

いすゞ自動車 南真介社長:
お互いに競い合うということは技術を磨くということで、非常にいいことだと思います。緊張感がある中でやってかないといけませんので、日本企業同士、発展していきたいなと思いました。

――トヨタとの距離感は変化があるのか。

いすゞ自動車 南真介社長:
トヨタさんともお話していますが、これからも同じような距離感できちっとやってこうとお話しました。日野さんあるいは三菱ふそうさんとベースの部分を一緒にしなければいけない。いろいろなルールや共通のコンポーネントを使うとか、そういう意味でトヨタさんとの関係は続いていくと理解しています。

――いすゞ自動車は石川島造船所から発祥した。日本の中では、非常に歴史の長い会社だ。自動車に携わってきて、今の立ち位置、これから先どういう企業になっていたいと思っているか。

いすゞ自動車 南真介社長:
商業車の場合はかなり社会の責任が重いということです。今回企業理念を「地球の『運ぶ』を創造する」に変えました。今までのように裏方で支えているのではなくて、もう少し前面に出て新しいことをどんどん提案し、商品として出していこう。積極的に物流事業者さんと世の中の変革に関与していきたいと思っています。

いすゞ自動車は2023年3月にエルフEVを発売した。水素を使った小型燃料電池トラックではトヨタ自動と日野自動車、大型燃料電池トラックではホンダと共同開発している。

――大型車あるいは商用車の世界での電動化を進めていくのはさまざまな課題がある。

千葉商科大学教授 磯山友幸氏:
特に商用車の場合は事業に使うわけですから、例えば充電する機械を誰が設置するのか、自分たちが設置しなければいけないということになるとコストがかかるわけで、それが普及の一つの大きな条件になってきます。

商用車業界も再編が進んでおり、いすゞ自動車はボルボと提携しながら、部分的にトヨタやホンダの技術を借りながらやっていく。次世代の車の本命が見えてくるのはいつなのか。南社長は「30年までに見えるかな」と話していた。

(BS-TBS『Bizスクエア』 10月7日放送より)