新NISAは年間360万円、無期限、限度額1800万円。投資信託は手数料を要チェック

――新NISAはどんな特徴があるのでしょうか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。それぞれ年間の限度額が120万円と240万円、年間360万円まで使えます。積立枠と成長枠は完全に分かれているものではなくて、積立枠でしか買えない投資信託を成長枠の中で買うこともできます。逆はできません。積立枠で買える比較的リスクを抑えた投資信託を成長枠で買うことはできるので、安全運転だけで360万円投資することはできるということです。

――期間が無期限になるということですね。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
自分が死ぬまでずっと課税されない。

――限度額も1800万円になると。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
元本ベースです。自分が買った金額ベースで1800万なので、儲かって1800万円超えたらおしまいかというと、そうではないです。

――十分な上限が設けられているということですね。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
例えばシニア層で退職金とかまとまったお金がある人の場合は、年間360万円というのを意識しながらやらなければいけませんが、一般の資産形成層ならそんなに気にしないで投資できると思います。

――ポイントとなるのがコストです。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
投資信託の場合、信託報酬という管理手数料がかかります。例えば、年率4%で増えていった場合を仮定して、信託報酬1%で毎月1万円ずつ積み立て投資した場合、30年後には自分の資産額が110万円少なくなってしまうんです。信託報酬0.1%だと12万円で済みますから、投資信託を選ぶときに必ず信託報酬をチェックしてほしいです。

――これから始めるという方はリスクの低い投資信託から始めるのがおすすめですか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
まずはリスクが比較的小さい、例えば全世界型の株式とか先進国株式というリスク分散された投資信託で手数料が0.0何%とかいろいろありますから、まずはそういうもので慣らし運転してみて、慣れてきたら投資額を増やすとか、もう少しリスクの高いものにも投資してみるとか、少しずつアレルギーを取り払っていくというのがいいと思います。

――今月の相場の格言は「漁師は潮をみる」。面白い言葉ですね。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
漁師さんは潮の流れや気象条件といった大きな変化を見て漁をするんですよね。株式投資も似たようなところがあって、相場全体の流れ、例えばグローバル経済の構造変化や金融政策を見て、流れに乗るのが大事だということです。格言を出しておいて何ですが、長期の資産形成はあまり潮を見なくてもいいです。コツコツと毎月積立投資をやめずに続けていくこと。大きな獲物を狙うのではなくて、少しずつ自分の資産を育てていくという気持ちで取り組んでいただくのが現実的と言ったらいいでしょうか。

――長期的に見れば上がっていくということですか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
不安になってもそこでやめないことです。長いこと相場に居続けるというのが一番大事。5年後、10年後には「この程度の下落は過去にもあったけど、その後また戻ったよね」と自分の中に耐性がついていきます。