日本株安の震源地はアメリカ。新NISAは口座開設から

――最近だいぶ株価が乱高下して、3万円割れるかなというところまで行きました。

ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏:
元々日経平均は3万3000円ちょっとまで行きました。日本株は割高でも何でもないんです。なんでこんなに下がったかというと、震源地は完全にアメリカです。

株は日本とアメリカはそれなりに連動していますし、アメリカ株で損が出てきたりすると、日本株はまだ今なら少し利益が残っているから、今のうちに利益を確定しておこうと売りを出す投資家がどうしても増えるのです。日本株はアメリカに付き合わされているだけだということだと思います。

――このままだと日本の株は上がるのかなと心配になってしまうのですが。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカの中央銀行の利上げがもうちょっと見えてくれば、また日本株は買われると思います。本格的な買いが入るのはもうちょっと先になるかもしれませんが、そんなに心配は要らないです。むしろ心配なのはアメリカ株です。国債の金利が上がってきたので、株はまだ割高だという状態です。

アメリカ株の割高を演出している真犯人がBIG7というアメリカの主要7社です。アメリカのS&P500という指数は主要な500社で構成されているのですが、その中の7社GAFAMとテスラ、エヌビディアと、残りの493社に分けて時価総額を計算するとグラフのようになります。

――BIG7が引っ張っていた?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカの株式市場はごく一部の企業に投資資金が集中していて、残りの493社はほぼ横ばいで、異常事態です。2023年の上昇が7社でほぼ説明がつくし、22年の1年間でアメリカ株が大きく下がったのも、この7社の株が下がったわけです。今のアメリカ市場は若干いびつなので、不安定な状況がもうしばらく続くと思っています。

――とはいえ、アメリカ経済が非常に堅調だと感じられるのが雇用統計で、市場の予想を大幅に上回る結果となりました。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
雇用者数の増加分は強かった。失業率は3.8%で横ばい。発表直後はアメリカ株は急落して、金利は急上昇したのですが、よく中身を見てみると、賃金の伸びが鈍化したんです。FRBがもう利上げしないで済むかもしれないという見方につながって、アメリカ株、ダウもナスダックもS&P500も上がり、フィラデルフィア半導体株指数も2%も上昇したという状況です。

――そんな中、日本では2024年1月から新NISAが始まります。まずNISAとは?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
少額投資非課税制度と言って、投資で儲かると普通は税金を20%ぐらい持っていかれるのですが、税金を取られないで済む。

――利益が全部自分のものになるので始めた方がいい?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
最近のように株価が不安定だと1回様子を見ようかなという人もいると思うのですが、むしろ株は下がったときに買った方がいいわけですから、先送りしないで少なくとも準備は進めていってほしいと思います。

――始め方から見ていきます。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
まずは口座を作らないといけません。口座を作れるところは銀行、証券会社、ネット証券、郵便局などいろいろあります。1年あたり1人1口座と決まっています。銀行口座みたいにいくつも持つことはできなくて、2024年分は1人一つ、25年分もどこかの金融機関で1人一つと決まっています。

――口座はどう選ぶのですか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
手数料が安いところだと、一般的にはネット証券です。でも、いろいろ相談をしたいなら、ちょっと手数料は高いけれども、銀行や対面の証券会社、郵便局ということになると思います。絶対これがいいというのはなくて、サービスと手数料とで自分に合ったところを選んでいただくということだと思います。金融機関の変更を1年に1回しかできませんので、スタートするときは安全に対面で、慣れてきたらネット証券に変えるとかも考えてもいいかもしれません。