広告業界でも性加害の噂「噂すら知らなかったっていう人はまずいない」

企業とジャニーズ事務所を繋いだのが、広告業界だ。
そこでもジャニー氏の性加害の噂があった。
そう証言するのは、大手広告代理店の元社員、原田曜平氏だ。

芝浦工業大学 原田曜平 教授
「もう噂としては確実にまず全員。噂すら知らなかったっていう人はまずいないと思います。あとは元ジャニーズって人も広告代理店にはいっぱいいますからね。 それはもっと生々しいというか、臨場感のある話を聞いたことがある人たちは、多分それなりにいたとは思います」

性加害の噂を知りながら、問題を指摘できなかった背景には、ジャニーズ事務所のタレントが持つ影響力の大きさがあったという。

Q.広告業界においてジャニーズ事務所っていうのはやっぱり大きな存在になっていた?

芝浦工業大学 原田曜平 教授
「大きな存在だと思いますね。ジャニーズって玉が一個あるかないかってのはすごく大きくて。やっぱりファンもいっぱいいますからね。 例えば、ある航空会社の広告にジャニーズのタレントを使ったら、もうそれだけで乗りたいっていう人たちがかなりの数いたりとか。

やっぱりまだ人権意識っていうのが正直に言うと低かったというか、特に広告代理店で言うと、クライアントが全ての世界なので、クライアントがジャニーズで提案を喜んでくださったり、あるいはむしろ自分たちからこのタレント・ジャニーズを使いたいんだって言ったら、なかなかNOって言うのはビジネスの構造的に大変。

ある種、言いなりだったり、喜ばせることだけに奔走して、社会にとって良いことは何かっていうのを考える余裕がなくなってたのがこの20~30年ぐらいの広告代理店だったと思うんですが、やっぱり性加害は大問題で、目の前の小銭に飛びついてる場合じゃなくてね、 『それはやっぱやめましょう』『こんなこと起こってるんです』って言うのが本当のビジネスパートナーですよね」

こうした中、企業の経営者らでつくる日本取締役協会は、未成年者に対する性加害問題に関する声明を発表した。

性加害の問題に企業がどう対応するかを示す、標準的なガイドライン=ガバナンスコードを策定するとした。

日本取締役協会 冨山和彦 会長
「どうしてもこれ超有名な芸能事務所の話なので、やや個別のスキャンダルに目がいってしまうじゃないですか。そうなんだけど、これよく考えたらもっと問題は根深くて、普遍的なところにあるんじゃないかなと。これを機にやっぱり日本企業が、人権侵害に直接・間接に関与しない、加担しない。とりわけ未成年に対する性加害は極めて重大な犯罪、犯罪の中でも重大なものであるっていう認識をみんなでまず持ちましょうということと、それからそういう意識・認識を持った上で、やっぱり実践していかなきゃいけない」