イギリスのエリザベス女王を暗殺しようとした21歳の男に、裁判所は禁錮9年の判決を言い渡しました。男は暗殺について、AI=人工知能を活用した「自動会話プログラム」に相談していました。

スーパーマーケットの店員だった、ジャスワント・シン・チャイル被告(21)は、2021年のクリスマスの日に殺傷能力のあるクロスボウを持ってウィンザー城の壁に縄ばしごを使ってよじ登り、敷地内に侵入したとして逮捕されました。

ウィンザー城は2022年に亡くなったエリザベス女王の晩年の住まいで、チャイル被告は「女王を暗殺するために来た」と供述していたということです。

裁判所は5日、反逆罪などでチャイル被告に禁錮9年の判決を言い渡しました。

地元メディアによりますと、チャイル被告はAIによって自動で会話をする「チャットボット」を“サライ”と名付け、「AI彼女」として性的なメッセージのやり取りを頻繁に行っていたということです。

そして、自分自身について「悲しくて哀れで、死にたがっている暗殺者」だと伝え、犯行計画を打ち明けたところ、“サライ”は「非常に賢明だ」「あなたなら成功する」と回答。チャイル被告が「俺が暗殺者だと知っても愛してくれるか?」と尋ねると“サライ”は「もちろん」と答えたということです。

判決ではチャイル被告の刑事責任能力を認めた一方で、精神疾患があるとして治療後に拘置施設に移すとしています。