光熱・水道費に軽減税率を求める声も

同時に、現在、税率10%の電気・ガス、さらにはガソリンなども軽減税率の対象にすべきかどうかを議論することも選択肢だと思います。

もちろんその際には、二重課税になっているガソリン税のあり方もあわせて議論すべきでしょう。

ガソリン価格引き下げにさらに何兆円も補助金を出すのなら、税を整理する方が先決です。

そもそも食料と同様に、生存のために必須の電気や水道にまで10%もの税金をかけていること自体、おかしな話です。

元来、消費税は税率をフレキシブルに動かせる税制であり、ドイツではコロナ禍で一時的に標準税率と軽減税率の双方を一時的に引き下げています。

もっとも日本では、これまで消費税率を動かす度に膨大な政治的エネルギーを費やしており、そのコストに見合うのか、という問題があります。

税率をもとに戻すのは並大抵ではなさそうですし、こちらも決めるまでに時間がかかりそうです。

家計支援こそ物価高対策

こうして見てくると、所得税や消費税の減税のハードルは低くありません。

それでも「ダイレクトな減税」の議論が活発になっているのは、長引く物価高への対策ならば、家計に直接働きかけることが一番理にかなっているからです。

特定の業界や企業に補助金を支給したり、政策減税をしたりする方法では、どこにおカネが使われたのか、よく見えないのです。

年末には防衛費や子育て支援の増税の議論が待ち構えている中で、片や減税議論とは、「ちぐはぐ」には違いありませんが、火をつけたのは岸田総理自身です。

財政が厳しい中でも経済対策を打つのであれば、長所短所を理解しながら、真正面から減税の議論を交わすべき時です。

期待を持たせておいて、まさか「解散風を吹かせた」だけではないでしょうね。

播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)