ーーえ、なぜですか?男性の心筋梗塞が減るから?

「いえ、残念なことにその逆で、女性が70代ごろからかなり心筋梗塞になり易い状態に近づいていきます。女性ホルモンは血管をしなやかにして、動脈硬化を防ぐような効果があります。それによって一般論として女性は心筋梗塞になりにくいのです。

しかし40代を過ぎて閉経し、そこからいわゆる『更年期』に入っていき、女性ホルモンの量が減ると、心筋梗塞のリスクがグンと上がってしまうのです」

【原因は?どうすれば防げる?】

男女に差はあれど心筋梗塞のリスクは誰しもが抱えているようだ。前兆に気づくのが難しいなか、普段の生活でどのようなことに気をつけることが必要なのか。心筋梗塞の原因と予防についても聞いた。

危険因子 「高血圧」は特に大きく心筋梗塞のリスクを上げる
危険因子 「高血圧」は特に大きく心筋梗塞のリスクを上げる

ーー心筋梗塞は何が原因なのでしょうか?

◉高血圧
◉肥満
◉喫煙
◉高コレステロール血症
◉糖尿病やその予備軍の耐糖能異常
◉加齢
◉家族の冠動脈疾患の病歴
など原因は様々です。

ーー普段の生活で注意できることってどんなことがあるでしょうか?

「先ほど上げた原因のほとんどは日頃の食事からくるものです。その中で最も心筋梗塞のリスクを高めるのが『高血圧』です」

ーー高血圧はどのように予防できるものなんでしょうか??

「『これをすれば血圧が下がる』というものはないのですが、一番よく言われるのは『減塩』です。食塩の目標量は成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と言われています。しかしそれを超える塩分量を摂取している人は非常に多いです。家で料理をするよりも外食などで済ませる機会が増えていることも原因の一つなので、日ごろの食事の塩分量を気にすることが大事です」

ーー他に食事で気をつけるべきことは何があるのでしょうか?

「そもそも血管が詰まる原因になる『コレステロール』には注意をした方がいいですね。ちなみに、『コレステロール』が多く含まれている食べ物って一体どんなものを想像されてますか?」

ーートンカツ…とかでしょうか…?

「揚げ物は確かにコレステロールを多く含んでいます。また、私が患者さんを見ていてよく感じるのは『おやつ』つまり間食ですね。コレステロールを多く含む卵や乳製品のバターなどを使ったフィナンシェや菓子パン、ヨーグルトなどです」

ーーヨーグルトは身体に良いイメージですが…?

「そのイメージでたくさん食べている方も居ますが、どんなものでも食べ過ぎは良くないですし、食べるとしても無脂肪と書いてあるものをおすすめしています」

ーー外食や間食が心筋梗塞の遠因になっているなんて、なんだか普段の食生活を反省しなきゃなって思います…。

「これは個人的な考えですが、現代は食が豊かになり過ぎている部分があるのでは?と思っています。食べようと思えばいろんな食べ物をバランスよく食べられますが、逆に毎日好きなものだけ食べることもできる。その“豊かさ”の負の面が心筋梗塞に繋がっているのかもしれません

様々なニュースなどでよく耳にする「心筋梗塞」。知っているつもりで、実はその病気のことを自分はほとんど理解していなかったと改めて気づかされた。毎日の食に気を付けながら…狭心症などのサインを見逃さないように…気をつけたい。