【心筋梗塞、どうやって気づく?】

ーー病院で治療を受けられないというケースは、やはり急に発症するから?
「もちろんそれも理由の一つです。様々な研究から心筋梗塞になる人たちの約半分が全く前兆がない状態から発症することが分かっています」
ーー逆に言うと、約半数は前兆があるということですね。どうすれば気づくことができるのでしょう?
「その“前兆”がまた気づきにくいのです。動脈硬化が発生して、心筋に通う血の量が減っていて、壊死を起こしていない状態。いわゆる『狭心症』が前兆です。『狭心症』の症状は個人差が大きく見逃しがちです」
ーー個人差が大きいというと、どのような違いがあるのですか?
「基本的に、運動や階段を上り下りする動作などで心拍数が上がると、胸の痛みや圧迫感が出るなどの症状ですが、痛みの出方のタイプが人によって違います」

「典型タイプ」
胸が締め付けられるように数分~10分ほど痛む。
「放散痛タイプ」
奥歯、のど、左腕、背中の痛み、肩こり、胸やけが数分~10分ほど続く。
「症状を感じにくいタイプ」
糖尿病や高齢者の人たちは痛みの感覚が鈍り、息苦しさだけを感じる場合がある。
ーー痛み方が全然違うんですね。「肩こり」や「胸やけ」もあるとは…気づくのは難しいですね。
「心臓の病気ということで、全身に兆候が出る可能性があります。中には歯医者や接骨院で針灸ににかかっていたら、実はそれが『狭心症』のサインだったということもあります」
ーーそれでも、傾向のようなものはあるのでしょうか?
「男性では胸の痛みが多く、女性ではそれ以外が多いようです。全体的な割合としては男性の方が心筋梗塞になる人が多いです」
ーー男性の方がより「自分は心筋梗塞かも?」と意識した方が良いですね。
「実は女性にも意識してもらいたいんです。男女比でみると男性の方が多く、50代ごろに差し掛かるまでは圧倒的に多いです。ただ70代に差し掛かると、その差は一気に縮まるんです」