チーム作りの失敗

バンテリンドーム©CBCテレビ

再確認しなければならないポイント、それは2023年シーズンの“位置づけ”である。「若手を育てる」年ではなかったはずだ。立浪監督自身「若手にチャンスを与えたのは去年まで。今年は勝てる選手を使う」と語っていた。勝ちにいったのだ。

しかし、新しい外国人選手の不調に象徴されるように、勝てる戦力を整備できなかった。「勝ちにいくシーズン」は、いつのまにか「若手育成のシーズン」へとすり替わっていた。厳しい言い方だが「チーム作りの失敗」である。

象徴的な試合は、開幕2戦目に早くも訪れていた。龍空選手のスタメン落ち。立浪監督は昨季の後半から春季キャンプへと、この20歳の内野手に大きな期待をしていた。開幕戦はショートのスタメン、しかし、2戦目は早々にベンチ。本人の成長不足もあったが、育て切れなかった責任もある。

不可解な采配の数々

そんなチーム状態を受けて、ベンチの采配も揺れ続けた。きちんとローテーションが守られた投手陣に比べて、打線は落ち着きのない状態が続いた。日本球界に復帰したソイロ・アルモンテ選手を「4番」にした“助っ人クリーンアップ”には驚いた。

開幕して、まだ7戦目のことだ。シーズン半ばには「1番・ビシエド」という試合もあった。緊急トレードで移籍してきた宇佐見真吾選手に「4番」を打たせた試合もあった。長くドラゴンズを応援し続けている身として、正直、首を傾げたくなる打順だった。ほとんどが負け試合となり、それは継続されなかった。

監督の前言撤回も目立った。代表的な例は、高橋周平選手のセカンド起用である。立浪監督は「サード1本。セカンドはない」と明言していたはずだ。当の選手たちが、その采配に戸惑っていないかと心配にもなった。