ジャニーズ事務所の会見で沸き起こった“拍手”に見えること

小川彩佳キャスター:
10月2日の事務所の会見ではジュリー氏が手紙の中で「『喜多川氏の痕跡を全てなくす』といった覚悟で補償に向き合っていく」というふうにおっしゃっていましたけれども、ではこうした被害者はどうするのかという疑問が沸きますよね。

藤森祥平キャスター:
被害者が、被害者の立場であるのに、苦しんで、さらに苦しんでいるという、この現実ですね。

小川キャスター:
斎藤さんは、2日の会見をご覧になっていたということですけれども、どんな印象を持ちましたか。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
気になったのは、一部の記者の方が繰り返し質問をして、それに対して井ノ原氏がたしなめる。それに対して会場で拍手が起こったシーンに違和感を感じたんです。

藤森キャスター:
会見の後半の中身ですね。一部の記者がマイクを向けられなくて、指名を待たずに大きい声で質問したりする、それに対して井ノ原さんがこのような発言をしたシーンですね。

ジャニーズ事務所 井ノ原快彦氏(47)
「全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子どもたち、自分にも子どもがいます。ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたいって僕は思ってますので、どうか、どうか落ち着いてお願いします」

会場:拍手

藤森キャスター:
このシーンですね。ちょうど私の目の前ぐらいで拍手が沸き起こっていて、「何だろう」と思ったら、おそらくその人たちは「ルールを守ってくれないと、会見の時間が終わってしまうから、何とか進めたい、円滑に進めたい」、そんな思いから沸き起こったのかなと思ったんですけど、まさかあんなに拍手があがるとは思いませんでした。

小川キャスター:
そのくらい制御不能の状態だったということですか。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
ただこれは明らかに、いわゆるトーンポリシングなんですよね。要するに、ルールを破った人に加害者側がルールを持ち出したり、性加害をした側が子どもたちを出して「もっとルールをあなたたちが守りなさいよ」というふうに言うというのは、加害者側が追求者を丸め込む方法なんですね。

それはもちろん問題だし、もう一つの問題は報道側もそうやってルールを過剰に守ることで、今まで問題を隠蔽する共犯関係で、それで被害を拡大した面もあるにもかかわらず、そのことにどれくらい自制と反省というものが本当にあるのかということに、このシーンを見て違和感を感じたということですね。

小川キャスター:
一社一問、そして(会見の)制限時間も2時間というルールが明らかになった時点でおかしいのではないかと。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
まず、なんでそんなルールを守らなければいけないのかということです。やらなかったら真実が明らかにならない。だからこそ、鈴木エイトさんのように“空気を読まない記者”が大事なのに、そういう人に質問を当てないということで起きたわけです。

小川キャスター:
鈴木エイトさんは、会見場にいらっしゃったのに当てられなかったんですよね。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
結構早い段階で何度も手を挙げてたんですけど、司会の方とも何度も目が合ったんですが、なぜかスルーされてしまった。そして一社一問、一人一問であれば、前回と同じように全員に当てるべきだと思います。

小川キャスター:
それもまた声を荒らげる記者が出てきてしまった一因になったのではということですよね。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
なので、その記者に対する反感みたいなところの拍手だったと思うんです。