◆登録事業者になるか、ならないか分かれる判断

インボイスが発行されないと、これまで300円だった小売店の納税額が1000円になってしまいます。小売店としては、負担が増えてしまうので、卸売店にインボイスを発行してほしいと思います。ただ、インボイスを発行するためには、卸売店が「インボイス発行事業者」として登録し、登録事業者になる必要があります。
◆免税事業者は「登録事業者」になれない
しかし、登録事業者になるには条件があります。

公認会計士 力丸宣康さん
「中小企業を助けようという政策的な配慮から『免税事業者』という制度があって、売り上げ1000万円以下の企業や事業主は、これまでお客さんから消費税を預かっても国に納付する必要がありませんでした。国としては、今回インボイス制度を導入することによって、免税事業者が課税事業者になる、という思惑があります」
売上1000万円以下の事業者はこれまで消費税の納税が免除されていましたが、インボイスを発行するためには、課税事業者となり消費税を納める必要があります。
◆WEBデザイナーは「登録事業者」を選んだ
課税事業者となるのか、免税事業者のままでいるのか。フリーランスでWEBデザインなどを手掛ける吉田深雪さん(40代)は、取引先からの要望を受けて今年8月「インボイス発行事業者」に登録しました。

WEBデザイナー 吉田深雪さん
「取引させていただいているクライアントさんから『インボイスどうするの?』と言われて『やっぱり必要ですか?』という話をしたら、『登録してもらえると助かる』と言われました。それで登録した次第ですね。私が登録しないと『適格請求書を発行できる他の方に依頼しよう』という流れになってしまう可能性がある。私としても困るので、登録事業者になるしかないという感じです」
吉田さんは、売上が1000万円以下の「免税事業者」でしたが、インボイスを発行できるようにするために「課税事業者」になりました。フリーランスになって2年目。これから売上を伸ばしていこうという時に、負担が増えることに不安を感じています。

WEBデザイナー吉田深雪さん
「今までもらえていたものが、減ってしまう。できたら単価を上げていきたいんですけど、難しい部分もあり……」














