「保護司」という存在は、TVドラマや映画などではよく見たりはしても、実際の活動はよくわかってない場合が多いと思います。法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされる保護司ですが、給与などは出ません。民間のボランティアで支えられている制度なのです。今回はその現状と課題を取材しました。

“更生”を地域で支えるボランティア

まずは「保護司」の基本的な役割について、自らも保護司を務める「更生保護法人 全国保護司連盟」事務局長の吉田研一郎(よしだ・けんいちろう)さんに伺いました。

「更生保護法人 全国保護司連盟」事務局長の吉田研一郎さん
「犯罪をした人とか、非行をした少年の立ち直りを、地域の中で支えるボランティアということになります。大きな職務、活動内容としては、一つは保護観察になった人に対して色々助言をしたりとか、就労の支援をしたりとか。或いは刑務所とか少年院に入っている人たちが出てきた時に住む場所、この環境の調整をあらかじめしておく仕事をしています」

こういった活動の大きな目的としては、やはり再犯防止ということが挙げられます。保護観察を受けている間は、月に2~3度本人に保護司が会って、面接を行います。個々のケースによってその期間も、短くて数か月、長ければ4年から5年も関わることになります。保護司の任期は2年とされていますが、実際は再任に次ぐ再任で、10~20年という長きに渡って続ける方が多いんです。だからといって、専門性がなければ“保護司”になれないというわけではなく、なった後に研修や先輩の保護司からの助言などを受けて、経験を重ねていくことになります。もちろん担当した方の立ち直り=更生がうまくいかなくてガッカリすることもあるそうですが、それだけにこんなことがやり甲斐になると言います。

「更生保護法人 全国保護司連盟」事務局長の吉田研一郎さん
「保護司をしていると、地域の中で同じ隣人として生活しているみたいなところがあるので、保護観察が終わった後でも、たまに街で見かけるとか挨拶を交わすみたいな機会もあります。そういうところでしっかりやってる姿に接するというのは、保護司をやっていて一番大きな喜びだろうと思います」