中国・杭州で開催されているアジア大会(9月23日~10月8日)。男子サッカーは、2010年大会以来3大会ぶり2度目の優勝を狙う。

これまでアジア大会を経験し、世界に羽ばたいた選手は枚挙に暇がない。
1998年は中村俊輔、小野伸二。2006年は本田圭佑、2018年は三笘薫などがアジア大会を経験して日本代表、海外クラブとステップアップ。次世代の日本代表の登竜門としての意味合いも強い。

そんな中、今大会最も注目されているのが、FWの佐藤恵允(22、ヴェルダー・ブレーメンU-23)だ。

今年7月、日本サッカー界に新たな進路の選択肢を示した。
明治大学在学中ながら大学のサッカー部を退部、発表されたのはドイツの古豪ヴェルタ―・ブレーメンへの移籍だった。大学生がJリーグを経由せずに、欧州の5大リーグに移籍するのは極めて異例といえる。

佐藤は「将来的に海外でプレーしたいという思いがあった。年齢的には早く挑戦した方が良いと思ったのでこの選択をしました。自分の強みは攻撃での前への推進力、守備でのハードワーク。ドイツでその強みをもっと伸ばしたい」とドイツ挑戦の思いを語る。

当面はドイツ5部リーグに相当するブレーメンU-23でプレーする予定。「パリ五輪の中心メンバーとして金メダルを獲る」と迫りくる1年後を見据えている。

佐藤選手

今回のアジア大会では、決勝トーナメント1回戦のミャンマー戦で2ゴール。相手GKの股を抜くゴールを見せるなど、ゴール前での冷静さと嗅覚は、類まれなものを見せている。

1日に行われた準々決勝では、北朝鮮の選手からラフプレーを受けるシーンもあった。それでも光ったのはフィジカルの強さ。ドイツに渡ってまだ1か月半だが、北朝鮮の選手たちを慌てさせるだけのインパクトは残した。

「自分たちが目標としていることは優勝ただひとつ」と意気込む佐藤。アジアの頂点まであと2勝。世界へ羽ばたく準備は整った。

■佐藤恵允(さとう・けいん)
2001年7月11日生まれ、東京都出身。ポジションはFW。178cm76kg、右利き。兄の影響で5歳からサッカーを始める。今年7月、明治大学サッカー部を退部し、ドイツのヴェルタ―・ブレーメンに加入。父はコロンビア人、母は日本人。