【大会3日目(11日)】

■女子800m予選3組 12:35
田中 1位 2分04秒13(予選全体1位記録)
200m・30秒4(30秒4)
400m・1分02秒4(32秒0)
600m・1分32秒7(30秒3)
800m・2分04秒13(31秒4)
「800mでポイントを少しでも取って世界ランキングをもう少し上げないと、世界陸上の出場資格に引っかかりません。予選から攻めた走りをして2分3秒くらいで走りたいと思っていましたが、タイムは中途半端になってしまいましたね。予選で気持ちも中途半端になり、ラストの必死さがありませんでした。2分3秒を当たり前に出せる力がついていない。それを確認したレースになりました。
今の力では800mで世界陸上に出場しても、出るだけで終わってしまいます。世界陸上にはつながらないかもしれませんが、来年以降にはつながります。今日のタイムから、明日の800m決勝をどう走るか(コーチとも)相談しますが、800mの権利を取ることは最後まで狙っていきます。
昨日1500mで世界陸上出場の権利を取れたことで、気持ちは少し上向きになっています。(800m予選の)ラストは会心のスパートではありませんでしたが、気温が高い中で完全に止まることなく走れたので、明日につながれば、と思っています。
明日は800m、5000mとも走りたい。それをしないと今回の日本選手権は不完全燃焼になってしまいます。意味がなくなってしまうんです。5000mの走り方は、800mをどう走るかが決まった後に決めていきます。800mを走って5000mも行けそうなら、戦っていきたい。800mに全部懸けるかどうか、になります。このあと体を大事にして、明日2種目を必ず走りたいと思います」
【大会4日目(12日)】

田中 2位 2分04秒51
200m・30秒7(30秒7)
400m・1分02秒0(31秒3)
600m・1分33秒9(31秒9)
800m・2分04秒51(30秒6)
■女子5000m決勝 17:35
田中 1位 15分05秒61
1000m・3分06秒(3分06秒)
2000m・6分06秒(3分00秒)
3000m・9分12秒(3分06秒)
4000m・12分17秒(3分05秒)
4600m・14分04秒
5000m・15分05秒61(2分49秒、62秒)

「800mは3位以内、2分5秒以内で行けば、ぎりぎり出場資格の世界ランキングに入る可能性があると思って走りました。ラスト200 mまで無理せず、ラスト200mも脚が止まるほど行ききるのでなく、5000mにつながるスパートで優勝できたらよかったのですが、優勝した塩見(綾乃・岩谷産業)さんの気持ちが強くてかないませんでした。ラスト200mを無理して行っても負けていたと思います。しかし800mに対して逃げずに完遂できた自信を得て、5000mに向かえたことはプラスになったと思います。
インターバルの70分は、去年よりも時間がとれて、トレーナーさんにたくさんケアをしていただくことができました。体的には良かったのですが、考える時間が長いとプレッシャーに押しつぶされそうになるんです。今日は体の回復と緊張し始めないぎりぎりのタイミングでスタートできて、レースもいいものになったと思います。
5000mは廣中(璃梨佳・JP日本郵政グループ)選手を意識して走りました。廣中さんも不安はあると思いますが、気持ちの強さと自信をもってレースに臨むことができる点が、私と違う部分です。後ろを走っていて彼女の自信を感じ取って、その圧にやられてしまうことがあります。今日は廣中さんがこんな自信をもって走っているのなら、私も自信をもってぶつからないと申し訳ない。(そう考えることで)リズムをもらいながら走ることができました。どんなレース展開になるか予想はしていませんでしたが、そういうイメージで廣中選手と走るぞ、ということをテーマとしていて、そういう走りができたのでよかったです。
今日は今年度で一番良いレースができたんじゃないかと思います。まだラストだけのレースしかできていませんし、国内ではラストで負けないことを確認できても、世界で通用するか、国内でもハイペースのとき潰されないレースができるか、1人で走ったときに押し切れるレースができるのか。まだまだ課題はありますが、今できることを出し切る走りをやれたことはうれしいです。
去年は3種目に挑戦する経験が初めてだったので、スケジュールがプレッシャーでした。(5000m東京五輪代表が決まっていて)失うものがなかったので割と楽しめました。今年は3種目走ることへの抵抗は割となかったのですが、その分(代表を取れない)恐怖や不安が大きくて、1500mのときが一番怖がっていました。会場に来るまで、宿舎でも葛藤していましたが、それを乗りこえて3種目を走ることができました。
しかし3種目に逃げずに挑戦することに意味があると口で言っても、5000mを外したり結果が伴わないと、1500mが内定しても“何やっているんだ”となります。周りから見ても認めてもらえる結果を出したいし、でもやりたいことに挑戦したい。難しい挑戦でしたが5000mで(口だけでないことを)見てもらえたと思います。今回成功した分、失敗もたくさんするかもしれませんが、今回大事なところで成功したことを、今後の自信にしたいと思っています。
失敗したら世界陸上の代表権を失ってしまう。そのプレッシャーに負けず、3種目総合して去年を上回る成績を残すことができ、去年以上の力を確認できました。
オレゴンに1500mと5000mの2種目で出場することになったら、両種目とも東京五輪と違って決勝という場に立って、両方とも中途半端にならない、ということを意識して臨みます。東京五輪は5000mの決勝に残れなかったことが1500m(の8位入賞)に生きることになりましたが、5000mも決勝に残っていたら両方中途半端になったと思います。今年は両方で決勝に残って、両方で戦うぞ、という手応えを今回の日本選手権で得ることができました」
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)