耳の聞こえないろうに加えてLGBTQ+という人は、推定で全国に4000人から6000人くらいいるとされています。今、LGBTQ+の人たちの活動が活発になるなかで、ろう者のLGBTQ+の人たちの当事者団体も全国にはいくつかあります。ただ、耳が聞こえないゆえに情報が入ってきにくいため、遅れをとってしまうという課題があるそうです。そうした問題を解決するために「日本ろうLGBTQ+連盟」という全国組織が、ことし4月に設立されました。
まず可視化することが大切
そこで、連盟のお二方、こうへいさんとかえでさんにお話を聞きました。お二人とも「プライドハウス東京レガシー」多言語・多文化推進事業のデフデー担当でもあります。
まずは連盟の代表のこうへいさんです。

こうへいさんは、自身もろう者で、ノンバイナリーです。ノンバイナリーとは、性の在り方が男性・女性という性別二元論にとらわれない人です。こうへいさんに全国のネットワークを作った理由について、手話通訳の高島由美子さんの協力を受け、伺いました。
こうへいさん
「日本ろうLGBTQ+連盟の中に7つの団体が組織的にあります。それでLGBTQ+に関わる手話について、それから団体の地域性など色々情報を交換したいという気持ちがありました。たまたまコロナがあり、手話というのは目でする言語なので、ZOOMという方法を使って今の必要性は何か、それぞれの団体の代表が集まって、ろうLGBTQ+連盟を可視化することがすごく大事だと思ったんです」
「日本ろうLGBTQ+連盟」は、全国7つの当事者団体が連携して当事者同士の情報共有や関連用語の手話言語の普及を目指しています。
LGBTQ+にあった手話表現が足りない!
では、その関連用語の手話に関する課題について、「日本ろうLGBTQ+連盟」の運営でゲイの当事者のかえでさんに教えてもらいました。

かえでさん
「例えば『デート』っていう手話は、親指と小指を立てて男と女が一緒にデートするっていう意味で『デート』する、と。でもそれだとLGBTQ+にはちょっと違和感があるので、男同士とか女同士とか臨機応変にその人の立場によって手話を変えていった方がいい、っていう案が出ているんですね。それから2つ目には『結婚』という手話があって、男と女がくっつく結婚という社会通念で生まれた手話なんです。でも男性と女性だけではないですよね、結婚は。ずっとモヤモヤしていたんですよ、僕。どうして男と女だけが結婚?って。結婚っていう手話じゃなくって、“薬指に指輪をはめる”っていうので『結婚』っていう手話に変えたらいいんじゃない?って」
かえでさんが話してくれた2つの手話。はじめの「デート」は、男性という意味の親指と、女性と言う意味の小指を立てたものです。よくある“アロハ”のサインに近いといえば分かりやすいと思いますが、それもデートは男女でするものという前提の手話ですよね。それを両手の親指同士や、小指同士など、臨機応変に変えたらいいのではという話でした。
そして次に教えてくれた「結婚」も、右手で指輪を持って、左手薬指にはめる、という手話に変えたらいいのではという提案でした。
