「バッシングされても信頼できる人たちに助けを求めよう」

小川キャスター:
まさにお母様にも告げられて、そして「公言しようと思う」というふうに與さんがおっしゃった時にバッシングを最も恐れたわけですよね。その世間の反応、社会の目というのが、どうなんだろうっていうところ、そこの恐怖っていうのもあったと思うんですけれども、そのあたりいかがですか。
與さん:
新しいこと、誰もやったことが無いことをする、(そうすると)当たり前にバッシングされるっていうのは頭の中にあったので、そこも含めて心の準備はできてたんですよ。
でも、母親が、自分の息子がバッシングされるのを見たくないっていう気持ちがやっぱ強くて。僕は全然そこに対してはもう準備はしてました。スタッフや、友人や家族がちゃんと僕のことを守ってくれるっていう自信もあったんですよね、なんか、そこまでの深いリレーションシップをこの何年もかけて、築いてきたので。
もしも、バッシングされても、こういう時はもう信頼できる人たちに助けを求めようって思ってたので、なんかそこに関してはもう本当に準備はできてました。
募った不安「甥っ子や姪っ子が学校でいじめられたら」
與さん:
僕はどっちかというと、家族が… お姉ちゃんとお兄ちゃんもいるので甥っ子や姪っ子が学校でいじめられたらどうしようっていうのが一番最初にありました。
小川キャスター:
そうですか、そういうところですか。先ほどから與さんのお話伺ってると、「日本では」とか、「バッシングはあるものだと思ってた」とか、そういう言葉がありましたけれども。日本だからこその難しさ、この日本の社会っていうのは、與さんの目からはどんなふうに映りますか。
與さん:
僕は本当に日本って素晴らしい国だなって。特にアメリカに住み始めて、もちろんアメリカも大好きですし、アメリカのカルチャーも大好きなんだけれど、やっぱり日本ってこういうとこ素敵だよな、日本人のこういうところは本当、素敵だなって思うことがたくさんあるので。
日本人って、言ったらわかってくれるというか。絶対、僕にはその感覚はあったんですよね。なので、ただ話されてないだけで、絶対に心を込めてゼロからちゃんと伝えたら聞いてくれるんじゃないかっていう変な自信はあったんですよね。
そんな日本人が「ああ」ってすぐバンってこう(拒絶)する人たちじゃないっていうのは信じてたし、絶対そうだと思っていたので。だからそれをもう信じてやるしかなかったの
で、ただ日本は話されてないだけだと、やっぱ今回、特にやって思いました。
「日本人はわかってくれる」LGBTQが話されていないだけ
與さん:
だから、みんなスタッフとか家族とか、友人も含めて、その周りにLGBTQの友達や人がいない。だから、何も知らない。だから、何もわからない、どうやって理解をしたらいいのかもわからない。何が正解なのかもわからないっていう、多分そこだと思うんですよね。
だから、僕はバッシングしてくる人たちのことを「は?」とは全く思わなくて。そういう人もいて当たり前。だって、みんな知らないんだもんっていう。だから、その人たちも、絶対に本当は意地悪な人じゃないし、ただ、本当にわかってないだけなのかなって思ってて。
だから、日本の社会が何か悪い、いいとかじゃなくて、僕が思うのは、ただそこを話されてないというか。メンタルヘルスもそうですよね。もうメンタルヘルスについても、そのLGBTQのことに対しても、話されてないだけ。もっとオープンになったら、もっといろんな人が救われるんじゃないかなって思ってて。
「みんなで話し合ってもっといい環境に」
與さん:
だから、僕は本当にいろんな人の話を聞きたいですし、LGBTQ+の方だけじゃなくて、多分、本当一人一人、みんなやっぱりつらかった経験もあるだろうし、トラウマだってあるだろうし、そういうところを何かみんなで助け合っていきたいし。日本人ってやっぱチーム戦得意じゃないですか。
だから、みんなで話し合って、もっといい環境になるんじゃないかなって。僕がそんな偉そうなこと言えないんですけれど、そういうふうになれると思うし、僕もそこで、ちゃんと助けられる人間になりたいです。
アメリカでも決して簡単ではない“カミングアウト”
小川キャスター:
話されてないというところにも繋がってくるんですけれども、今回、與さんが公表されたことで、はっとさせられたのが、ニューヨークタイムズなど、最初が海外メディアからの発信だったんですよね。なぜ日本のメディアではなかったんでしょうか。
與さん:
日本のメディアもあったのはあって。本当に海外の方たちがすごい興味を持ってくれたというか。だから、最初、本当にニューヨークタイムズの話が、インタビューをしたいって、独占インタビューをしたいっていう話が来た時は「どういうこと」って本当に思いました。
「えっ、そんな大きいことをするの?」って、逆に「えっ」って思って。
全くこれからカミングアウトするよって言ってないアメリカ人の友達から普通にメールで「真!もうテレビでやってたよ」「このニュース見たよ」とかっていうのを、みんなが来て。「うわ、これだけ見られたんだ」っていう思いがあって。
でも、プラスで、何でアメリカでもいろんなインタビューを受けさせてもらったかっていうと、やっぱりアメリカに住んでても、隠してる人ってまだいるんですよ。何かアメリカって自由で、みんなもう(カミング)アウトしてるんでしょって、多分、日本人で結構思っている方が多いと思うんですけれど、本当にそんなことなくて。
やっぱり家庭環境で言えなかったりだとか、未だに言えてなくて、LAに住んでる人とかも結構いて。そういう人たちの話を聞いてると、日本だけの問題じゃないんだなって。
僕のストーリーがどこまで海外の人に突き刺さるかわからないけれども、一人でも僕がこれ(公表)をすることによって、勇気を与えることができたら、一人でも多くの人が「一人じゃないんだ」って思ってくれたらいいなっていう思いで、海外のメディアにも積極的にインタビューを受けさせていただきました。
海外メディアへの発信 思いもよらず“世界的にニュース”に

小川キャスター:
與さん自ら「海外メディアから」と選択したわけではなくということですか。
與さん:
そうですね。何かアメリカにもチームがいるので、そこもあって話はいろいろいただいたとは思うんですけれど。今ハリウッドで僕の人生を描いてくれるドキュメンタリーをずっと撮ってくれてて、そういう機会もあったっていうのももちろんあるんですけれど、これだけ世界的にニュースになるとは僕も思ってなかったです。
小川キャスター:
発信をして初めてここまでの広がりが、と気づかされたことなんですね。
與さん:
びっくりしました。もうなんか、日本も本当にいろんな人からメール来たし。これだけ知られたんだなって思います。

















