◆かっこよすぎる桑田佳祐さんの全力投球

この「Relay~杜の詩」の中でも印象的なのは、「いつもいつも思ってた 知らないうちに決まってる」というフレーズです。これは(神宮外苑の再開発を進める)東京都への批判を超えて、政府の閣議決定でいろんなことが決まっていることへの言及ともとれるわけです。

桑田さんは「歌詞に全て込めました」と話していて、おそらく僕の解釈は間違っていないと思います。「政治のことや社会のことを語るのはやめて、音楽だけやってろ」という声に対するプロテスト(抗議)でもあるでしょう。この桑田さんの全力投球ぶりは、かっこよくて仕方ありませんね。

自分のスタンスを明示しながらも、きちんとキャッチボールをしましょう、という余地を残しています。まず自分のオピニオンをきちんと言う。だけどそれだけが絶対ではない。「僕はこう思うけど、あなたの声も聞かせてほしい」と呼びかけて、対話の必要性を説いている歌であり、これはそもそもポピュラーミュージックのあり方というものに適っていると思います。ここから僕らが学ぶことはたくさんあると思います。

◆我がこととして考えてみてほしい

例えば福岡だったら、けやき通りの街路樹が全部なくなりますということが決められたらどうなるでしょう? あるいは、大濠公園の池を埋め立てます、ということが、いつの間にか決まったら? というふうに、我がことに引き寄せて考えてみると、この歌も違った見え方がするでしょう。桑田さんもそういう問題提起をしたいという気持ちが強いと思います。