再開発計画への懸念

こうした都会のオアシスに持ち上がった再開発計画。2023年2月、東京都は、事業者の計画を認可し、一部で解体工事が始まりました。

老朽化したラグビー場と神宮球場が建て替えられるほか、商業施設が 入る超高層ビルなどが建設される予定。スポーツ施設を中心にした賑わいあふれるエリアを生み出すとしています。

ところが、その工事に伴い、樹木700本以上を伐採。絵画館前のイチョウ並木は残されるものの、生育への悪影響を懸念する声が上がりました。

7月には事業者側による住民向けの説明会が開かれましたが…

参加した住民「通り一遍の答えでちゃんとした答えは得られなかった」
参加した住民「反対意見があるからやりました、というポーズでしかないと…」

9月から樹木の本格的伐採が始まるとあって、工事中止を求めるインターネットによる署名は、すでに22万以上に。

ユネスコの諮問機関イコモスも9月、事業者と東京都に計画の撤回を求めたのです。

イコモス・文化的景観委員会 エリザベス・ブラベック会長
「成熟した樹木が破壊されるのは受け入れられない」

事業者側は、今後、新たな植樹によって樹木数は増えるとしますが、住民の理解が十分得られているとはいえない状況です。

なぜ問題はこじれてしまったのか?

実は今回の計画が始まったのは2010年。しかし、その詳細案が公表されたのは、2021年になってからでした。専門家は…

松田達准教授 静岡文化芸術大(都市学)
「計画は10年以上かけてやってきたのにもかかわらず一般の人にほとんど知られることなく進んできたプロセスが問題だった。この問題を知ったときには、もうほとんど動かせないという状況でこの計画が公にされた」