クマによる被害が深刻化していることを受け、警察庁はきょう、警察官がライフル銃を使用してクマの駆除ができるよう国家公安委員会規則を改正しました。来週13日に施行されます。

今年度、クマに襲われて亡くなった犠牲者の数はきのうまでに13人にのぼり、すでに過去最多だった2023年度の2倍以上となり、被害は深刻化しています。

木原稔官房長官は先月30日の記者会見で、住宅街などに侵入したクマに対して自治体の判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」を行える人材確保の必要性を強調。そのうえで、「警察においてはクマに関する知識を習得し、訓練をした警察官の確保、装備・資機材の整備なども含め、ライフル銃を使用したクマの駆除について早急に対応していく」と述べていました。

警察庁はこうした中、今月4日と5日に特にクマの被害が大きい岩手県と秋田県に担当者を派遣し、自治体のニーズや現状などを調査。両県からはハンターの人材不足やクマの出没状況などについて説明があり、支援の要請を受けたということです。

県への聞き取り結果を踏まえ、警察庁はきょう、ハイジャックの対処などに限定していたライフル銃の使用について、警察官がライフル銃を使用したクマの駆除ができるよう国家公安委員会規則を改正しました。

改正した規則は、来週13日に施行されます。

警察庁によりますと、施行を前にきょう、秋田県と岩手県に他の都道府県警の銃器対策部隊からライフル銃の扱いに経験豊富な人材を派遣しました。

施行される13日までにクマの習性や急所に関する知識の習得に努めるほか、ライフル銃の射撃訓練などを行ってクマ対策に備えるということです。施行後は、秋田県警と岩手県警にそれぞれ、▼スナイパー2人、▼現場指揮官、▼自治体との調整役のあわせて4人のチームを2組ずつ配置し、緊急銃猟が間に合わない場合などには、警察官職務執行法に基づいてクマの駆除にあたります。

緊急的な今回の派遣について2週間ごとのローテーションで対応していく方針ですが、期間についてはクマの冬眠状況なども考えたうえで、慎重に検討するとしています。

警察庁は、クマによる被害や目撃情報があった場合、これまでと同様に住民の避難誘導や情報提供、通学路の警戒などの安全確保にも努めるとしています。