渡邉和也さん43歳。時田さんが師匠と呼ぶハンドパン製作に欠かせない人です。
渡邉さんは鎚起銅器で世界的に有名な玉川堂の元職人で鍛金技術で金属を加工するプロフェッショナルです。2年前から技術面で時田さんをサポートしてきました。

【渡邉和也さん】「ここ2年でだいぶ金属の扱いは上手になった感じはする。一番最初はそういう知識がないまま力任せに作ろうとしていたので」

新潟に来た当初は1人でハンドパン製作に取り組んでいた時田さん。それまではハンマーを振るったこともありませんでした。
【時田さん】「金属をあっためるとどうなるのかとか、冷やすとどうなるのかとか、もう全然分からないまま始めていたので」
ハンドパンの形は作れても音が鳴らず、苦悩する日々が続いたそうです。

すごい苦労を?
【時田さん】
「そうですね。鳴らないので、何個くらい作ったんだろう…多分50台じゃきかないですね。何台作ったか分からないんですけどそのくらい作って、また方法を1個ずつ変えて作って、というのを2年間繰り返していたので」
試行錯誤の苦しみが続く中、渡邉さんとの出会いが大きな転機となりました。
【渡邉さん】「ここちょっと…うん(カンカン)」
時田さんは渡邉さんから金属の扱い方や鍛金技術を学ぶことで納得できる音が鳴るハンドパンを作れるようになったと話します。

【時田さん】「もし(渡邉さんが)いなかったらってたまに考えることがあるんですけど、多分10年あっても今のレベルまでこられていない」
【渡邉和也さん】「今まで彼一人でやっていた時は音が入らなかったから。それでも辞めなかったというのが全てというか。それがたぶん彼の大元となっている」
移住して4年が経ち製作するハンドパンに手応えを感じてきた時田さん。ハンドパンの音色を聴いた時田さんの友人は…

【友人は】「こうやって鳴っているのが感慨深いです。最初鳴らなくて、鳴らない音も聞いていたのでこんなきれいな音になったんだなって」
時田さんが作ったハンドパンから鳴り響く音色は年齢を問わず聴く人誰をも魅了します。
【ブース来場者は】「すごい」
「音が分かると楽しいかもしれない」

【時田さん】「楽しい音が響く里、街にしたいなと。ここ燕三条を。工場の音は昔から鳴り響いていると思うんですけど、楽器の音っていうのは今までなかったはずなので工業の街で新しく楽器という産業を一つ作りたいなと」

「燕三条を楽しい音が鳴り響く街にしたい」その思いが強まるとともにハンドパンビルダーとして自信もつけた、ことし6月、時田さんは自身の工房『響楽舎(きょうがくしゃ)』を立ち上げました。

【時田清正さん】「ハンドパンを作るだけじゃなくて、ハンドパンを使った人とか聞いた人がみんな幸せになるような幸せな空間を作る。作っているのはハンドパンというものなんですけど、モノじゃないところまで作りたいというのが僕の夢ですかね」

ハンドパンの音色で聴いた人みんなをハッピーに。幸せの音色を響かせるためきょうも時田さんはハンドパンを作り続けます。