「災害関連死」を繰り返さないために、一緒にがんばる仲間でいたい
地震から9か月がたつ頃、仮設住宅で開かれた体操教室に、清光さんの姿がありました。長引く避難生活で運動量が減ることなどで起こる災害関連死を防ごうと、厚真町の社会福祉協議会が始めた取り組みです。
清光さんは、参加者たちに「お茶をもらいに行きましょ。元気にもらいに行きましょ。歩く運動。やってごらん」と声をかけ、場を和ませていました。
災害関連死を繰り返さないために、仮設住宅に住む人と「一緒にがんばる仲間でいたい」と、声をかけあって過ごしていました。
この頃、全壊した自宅は撤去され、見慣れた町の景色は一変していました。
崩落した山や道路の復旧工事も、進んでいく中で、清光さんは災害関連死認定の申請書類を町に提出しました。
サダ子さんの死から9か月以上が経った、2019年6月28日、医師や弁護士による審査委員会が行われ、翌日、町は災害関連死と認定しました。
サダ子さんの死は「地震によるストレスの影響」と判断されたのです。

「俺が『風呂に行け』と言ったのもあったかもしれないけど、ショック的なものがあってそうつながっていったんだって理解できる。時間はかかるけど、自分を責めなくなるいうのはそこだ」
災害関連死と認定されたことで、清光さんの心は少し軽くなったように見えました。
それでも「助かったはずの命」が失われた重みは、変わりません。
「やっぱりゆっくりと、じわじわじわじわ、やっぱり来るね、やっぱりね。一人の寂しさが来るわ」

震災後の生活のつらさも、2人で乗り越えるはずでした。
「家内がいればね、おいしいんだけど。なんでもひとりだ」