「正採用の枠を増やしても解決しない」そのわけとは

沖縄県内で、こうした教員不足が始まったのはここ数年の話ではなく、実は以前からの課題だったといいます。

慢性的な教員不足に加えて、▽産休や育休、病休などイレギュラーな形で現場を離れる教員が出てきたこと▽ここ10年で特別支援学級が1100クラス増えたこと▽きめ細かな指導を目的に、沖縄県独自の取り組みとして小中学校の少人数学級を実施しているため、必要な教員の数が増えていること、などがその要因とされています。

では「そもそも教員の正採用の枠を大幅に増やせばよいのではないか」と教育委員会の担当者に聞いてみましたが、担当者は「県議会等でも同じような話が出るが、それは現実的なことではない」といいます。

沖縄県の公立学校における毎年の教員の正採用はおよそ350人。この新規採用された教員が受けないといけないのが、文科省が定める初任者研修です。

研修では学級経営や教科指導、特別活動など、子どもたちの心身の成長のために定められた7つの項目を1年間かけて学びます。

研修期間中、新任の教員は授業を行えないことも多く、指導教員をはじめまわりの教員のサポートが不可欠です。このため教員数に余裕のない小規模校や離島校では研修の受け入れが難しいのが実情です。

今でも1つの学校で複数の新任教員を受け入れていて、仮に現在不足している100人近くを採用しても、受け入れる学校がないのです。