政策課題への対応という点では「ちょっと非力な布陣」
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏:
女性閣僚が5人になったのは非常によかったと思います。ただ、よく見ると政策実行力はちょっと疑問かなという気がします。
政策課題として、物価高、負担増、米中対立などかなり難しい問題も山積しているので、それにどう対応するかという点ではちょっと非力な布陣かなと思いますね。

例えば河野太郎氏が留任しましたけど、やはり今までのマイナンバーの対応はきちっと総括して新しく出直さなくちゃいけませんけど、これも政局的な思惑と言いますか、河野さんを取り込んでおきたいということが先行しすぎてこれを刷新できないということもあります。
それから厚生労働省の社会保障の問題や文部科学省の対応とか、あまり経験豊富じゃない方が今回は多いので、そこは大丈夫かなというところがありますね。
“第4派閥の悲哀”と“支持率の低さ”が背景に
井上貴博キャスター:
女性が増えたのはとても良かったと思う一方で、ラインナップを見ると結局、派閥のバランスを取る。あとは森喜朗さんなどの権力者が何となく言っていることを聞く。そうなると党内力学に終始している。
これは結局、岸田さんの足元があまり盤石ではないからこうせざるを得ないのか、「いや、そもそも別にもう、こんなもんです」ということなのか。
星浩コメンテーター:
それはおそらく前者だと思います。おそらく岸田さんは今回の人事で2つのことを味わっています。
1つは第4派閥だということの悲哀ですね。党内では100人の安倍派とか、第2派閥の麻生さんや茂木さんのところに押し込まれた面がありますから。
もう一つは支持率が低いんですよね。支持率が高ければかなり蛮勇を振るってできるんですけど、それができないので非常に派閥均衡でやらざるを得ないと。
例えば安倍派のところで5人衆と言われている人たちの人事をいじれなかった。1ついじると全部ガラガラとなりますから、そこに手を出せなかったのは岸田さんの非力さが見えたと思いますね。

外務大臣を林氏→上川氏にかえた狙いの一つに“選挙シフト”か
井上キャスター:
外務大臣の上川さんは岸田派ですね。これは林芳正さんで安定していると見られてたところに、法務大臣などを歴任した上川さんを起用した意味合いは?
星浩コメンテーター:
これは2つあります。1つは選挙シフト。実は政権2年間やっていながら宏池会が増えていないのは非常に珍しいケースなんですね。そこで林さんに宏池会の派閥に戻ってきてもらって、林さんに閥務で宏池会を増やしてもらって、次の戦いに備えてもらいたいというのが1つ。
上川さんは元々、宏池会でリベラルな方ですし、ここは岸田さんの選択だったと思います。今までの岸田外交をそのまま引き継いでもらいたいということだと思いますね。