■避雷針があっても安心できない!
ただこれは、一般の家庭向けで、避雷針があるビルやマンションなら必要ないのでは?と思ったので、向井さんに聞いてみました。
――避雷針があれば大丈夫なのでは?
株式会社昭電 向井雅兼さん:
避雷針はですね、実は「建物」と「人命」を守るためのものというふうに規定されているんですね。避雷針に応じることによって、例えば鉄筋などに雷のエネルギーが流れるんです。その雷が鉄筋を流れる際、その近くに電源線とか通信線とかがありますので、そこが電磁誘導を起こすことによって、家電製品やパソコンなどを破壊するケースに至る可能性があります。
避雷針というと、雷を受けて、地面に電流を逃すというイメージですが、ただ、完璧に逃がすわけではなく、建物の中に雷の電流が侵入してしまうそうです。
そこで、建物の中のコンセントにつながっている機器を守るには、やはり対策が必要ということでした。
■雷を落とさない!新発想の避雷針?
避雷針でも完全には防ぎきれないとなると、なかなか手強い雷ですが・・・
では、雷が落ちないようにする方法はないのか??
調べてみると、避雷針と違って、雷が落ちない、新しい発想の落雷防止設備が広がっていました。
こちらは「PDCE避雷針」という設備なんですが、一体、どんな仕組みなのか?製造、販売を行う株式会社落雷抑制システムズの代表取締役、松本敏男さんに伺いました。

――普通の避雷針と何が違うのでしょう?
落雷抑制システムズ 松本敏男さん:
避雷針というのは、実は「雷避ける針」と書きますけど、あれは雷をわざわざそこに招いて、落としやすくしてるんです。実は、避雷針の先から「お迎え放電」なるものが上に上がって行って、上から降りてきたものと結びついて、そこに大きな電流が流れるのが、落雷なんです。ですから、その「お迎え放電」を出さないようにすればいいわけで、そういう発想で作っています。
――具体的にはどんな仕組みなのでしょうか?
落雷抑制システムズ 松本敏男さん:
まず、避雷針に比べると、先端は滑らかな球体となっていて、尖ったものよりは放電しにくいです。あと中が絶縁する構造になってまして、地面から電流が流れにくい仕組みになってます。これで「お迎え放電」がなくなり、雷が落ちません。

――導入実績はどれくらいあるのでしょうか?
落雷抑制システムズ 松本敏男さん:
日本で3,300台以上納入しまして、「落雷が発生しない」とお客様から非常に喜ばれております。

普通の避雷針は、上空からマイナスの雷が落ちてくるのを、地面からプラスの電流が上がって、針先に集まって「お迎え放電」を出して、引っ張ってくる仕組みです。
一方、この「PDCE避雷針」は、先端が丸い半球になっていて、かつ、絶縁体が入っているので、地面からのプラスの電流が上空に放出されない。むしろ表面は、雷と同じマイナスになって、雷が落ちることができない!
高さ20メートルに設置すると、半径100メートルには落ちないということでした。

元々は海外で発明されたものを、日本で発展させ、こちらが13年前から販売。今は3,300台、ビルはもちろん、牛久の大仏の頭にも乗っかっているそうです。

避雷針の仕組みが発明されたのは、およそ270年前。当時に比べ、社会は大きく変わりIT化が進みました。今の時代にあった形の雷対策が必要そうですね。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)