西武池袋の土地をヨドバシが取得
また、ヨドバシはそごう・西武が持つ西武池袋本店の土地などを、新たなオーナーである投資会社から約3000億円で取得するということです。
要は、買収資金の大半をヨドバシが負担することで、そごう・西武の最大の資産である池袋駅直結の不動産をヨドバシが手に入れるという構図です。
つまり、「西武池袋にヨドバシが入る」のではなく、「ヨドバシ池袋に西武百貨店が居させてもらう」形になるわけです。
こうした詳細なスキームは売却前には明らかにされておらず、一テナントになった西武百貨店には、この先、いばらの道が待っていると言えるでしょう。
そごう・西武の厳しい業績
そごう・西武の百貨店事業が厳しい状況にあることは言うまでもありません。4年連続最終赤字、3000億円もの負債を抱え、今や同業他社との差も広がっています。
セブン&アイにしてみれば、「百貨店として残して欲しい」という関係者の声に、真正面から応じることなど不可能だと、最初から割り切っていたのかもしれません。
売却後の改装フロアプランの詳細まで、皆の合意を得る必要などない、という思いもあったでしょう。
むしろ、売却後のそごう・西武支援のために916億円もの債権放棄に応じたり、グループとして今後の雇用維持に協力したりする方が、ずっと合理的だと判断したのかもしれません。
一世を風靡した西武池袋の重み
それでもなお、割り切れなさが残るのは、西武池袋本店が、かつて売上日本一を誇り、日本で初めて海外有名ブランド店を誘致するなど、特別な店だったということが大きいでしょう。
それが、百貨店でなくなるのだとしたら、ステークホルダーにとっては、重みが格段に違うのです。もう少し早い段階から対話ができなかったのか、残念でなりません。
百貨店を傘下に収め、総合流通業をめざしたセブン&アイは、結局のところ、事業再建でも、売却という最後の局面でも、そごう・西武と真剣に「向き合う」ことができなかったように見えます。
売却実施によって、そごう・西武はセブン&アイの手を離れることになりましたが、セブン&アイの企業イメージが、これまでとは異なったものとしてステークホルダーに刻まれたのであれば、とても「もったいない」ことです。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)














