■プーチン氏が出演“毎年恒例の番組”が延期 その背景は?
井上キャスター:
もう1つは、プーチン大統領と国民が直接対話をし、国民の質問に答える恒例の生番組について。海外の記者やメディアも多く集まる番組で、最近は毎年6月の放送が恒例になっています。国営テレビなどで生放送され、最長の放送時間は、2013年の4時間47分と5時間近くになる年もありました。2021年の放送では、ウクライナについてプーチン大統領は、「ウクライナ政府は、明らかに私たちに対して非友好的です。ゼレンスキー大統領と会う意味がありますか?」と発言していました。
では、2022年はどうなるのかという点について、ロシアメディアによると、ぺスコフ大統領報道官は「2022年の『直接対話』は6月には行われない。開催日はまだ決まっていない」とし、6月には放送せず、延期する旨を早々に発表したのです。
ホラン千秋キャスター:
“死亡説”や“影武者説”などの話を聞くと、都市伝説のようにも聞こえてしまいますが、プーチン大統領は今どういう状況だと分析されてますか?
慶応義塾大学総合政策学部 廣瀬陽子教授:
高齢ということもあり、病気についてはかなり前からいろいろな噂がありますので、おそらく何らかの病気になっている可能性は非常に高いと思われます。しかし、“影武者”はまずないと思われます。長いこと公務を空けているということもありませんので、あるとしても若干の治療で済むようなレベルの状況、つまり明日や明後日に亡くなるというような非常に重い状況ではないと思います。
ホランキャスター:
6月にいつも放送されていた恒例の番組が放送されない。その背景には何があるのでしょうか?
慶応義塾大学 総合政策学部 廣瀬教授:
プーチン氏の病気にフォーカスした報道だと、“4時間や5時間という長い時間に耐えられないので今年はやらない”といった内容・発言もありますが、(恒例の番組を延期した背景としては)ウクライナ危機がある中で、ウクライナに関する質問に答えたくないというのが一番大きい理由ではないかと思います。
■“死亡説”や“影武者説”は「情報戦の一環」「冷静に捉えるべき」専門家
ホランキャスター:
いろいろな思惑で様々な情報が出てきますので、冷静に一つ一つ分析していくことが重要ですね。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
出た情報に対してどれぐらい信憑性があるかはとても大切ですし、同時に本当に大切なのが、ロシア国民の意思決定の問題だというのはつくづく感じます。しかし、ロシア国民の立場になろうとしてみたときに、長期的な目線よりも、短期的に自分の生活が危ぶまれると感じてしまったら、あまり変わりたくない、今のままでいいと思うと思います。ロシア国民が地球規模で平和とはみたいに考えられるかどうかとなると、また別問題だと思います。本来は、プーチン大統領に本当の話をしていただくことがいいのかもしれませんが、なかなか難しいですよね。
井上キャスター:
イギリスの諜報機関がそんなに適当な情報を出すとも思えないのですが、プーチン大統領が亡くなっているかもしれないというのは、何か情報を掴んでいると見てますか?それとも、情報戦の一環ですか?
慶応義塾大学 総合政策学部 廣瀬教授:
そもそも報じた雑誌はかなり信憑性が危うい類の雑誌です。MI6の情報かどうかも定かでないと思いますので、“情報戦の一環”と見た方が正しいのではないかと現状では思います。
井上キャスター:
額面通りには捉えない方がいいですか?
慶応義塾大学 総合政策学部 廣瀬教授:
そうですね。そのように捉えてしまうと情報戦という中で、正しい情報に向き合えず、日本としても間違った判断をしてしまう可能性があります。ここは冷静に捉えていった方が良いのではないかと思います。