原発処理水の放出が中国側の反発を招いた問題、地域の観光産業にも影響を及ぼしています。富山県内でも、定期便が再開したばかりの上海便のツアーの予約キャンセルが確認され、旅行会社は一刻も早く日中関係を改善してほしいと話しています。

ニュージャパントラベル 松田隆社長:「インバウンドに関して話を聞いていると、少しずつキャンセルが出てきたという話は聞きます。中国から来られる方のね。がっかりしているところが本音ですね」

こう話すのは富山市にあるニュージャパントラベルの松田隆社長です。

今月24日、東京電力・福島第一原発に溜まる処理水について海への放出を開始しました。これまでのところ、東京電力は海水の放射性物質濃度は検出可能な濃度を下回り異常はないとしています。ただ、処理水の放出に対し対抗措置ともとれる水産物の全面禁輸を決めるなどの反発を強める中国では、日本人学校の敷地に石が投げ込まれる事件が発生しています。

日本国内では公共施設や企業などにいやがらせの電話があるなど両国関係が急速に悪化しています。

富山県内では今月8日から中国・上海の定期便が3年半ぶりに再開。2006年度には過去最大となる2万3000人以上が利用していた上海便もコロナ禍でゼロに…。

かつてのインバウンドのにぎわいが戻りつつあるさなかに湧いて出た原発処理水・海洋放出の問題。来県した訪日客の受け止めは様々です。

富山を訪れた中国人:
「毎日ニュースに出ています。だから心配しています。日本への旅行行けるかみんな心配。前は日本に行きたいだったけどけどいまはタイとかシンガポールとか行くかな」
「(記者:不安な気持ちはありますか)ないです。多分、日本人が食べるものは私たちは食べる。多分大丈夫」
「政府が海水は安全ですと言っているから心配ではない」

一方、旅行業者は中国からの旅行客確保につながるよう2国間での対話を望んでいます。

ニュージャパントラベル 松田隆社長:「以前のように日中関係、良好な関係に持っていければお互いの国にとってプラスになるので、少しでも早く改善されるように願っています」