中国の思惑は?

小川彩佳キャスター:
水産加工会社の方の、悲痛な胸の内もありましたけれども、中国の禁輸措置の影響は、計り知れないものがありますね。

山本恵里伽キャスター:
日本にとって、中国というのは、水産物の輸出相手国として第1位。2022年の輸出額は、871億円にも上っているんです。

帝国データバンクによりますと、中国に輸出を行っている、日本の食品関連企業700社以上に影響が出るという調査結果も発表されています。

小川彩佳キャスター:
そうした中での禁輸措置。なぜ中国は、ここまで厳しい対応を取るんでしょうか。

星浩 TBSスペシャルコメンテーター:
ひとつは、この問題を、中国は外交カードとして使っているんですね。いま、アメリカと日本が、中国に半導体の輸出規制をかけているんですけれども、中国からすると、この問題で日本を揺さぶって、この規制を少しでも解除させたいというのが狙いですね。

もうひとつは、中国は経済が停滞して、失業が増えていまして、国内で相当に不満が高まってますので、そのはけ口として、使えるなら使ってみようというのが政権側の思惑だと思いますね。

山本恵里伽キャスター:
北京支局の立山芽以子 支局長にも話を聞きました。迷惑電話の段階では、みんな軽い気持ちでやっている人が多いということで、中国国内が反日一色で染まっているわけではない、と指摘をしています。

そのため、中国政府としても、この程度なら、ガス抜きとして様子を見ている段階だということなんですね。

また、中国人も対応はさまざまです。北京の日本食レストランには、店を応援するために、わざわざ足を運びに来る中国人の方がいたり、処理水のデータについても、日本政府の発表をSNSなどで見て、冷静に受け止めている中国の方もいたりするということです。

小川彩佳キャスター:
とはいえ、事態はどんどんエスカレートしていて、北京の日本大使館には、レンガの破片が投げ込まれるという事態も起きています。そして日本では、飲食店や役所などの業務にも支障が出る事態となっています。これほど騒動が広がることを、日本政府は予想できていたんでしょうか?

星浩 TBSスペシャルコメンテーター:
まず中国側ですけれども、大使館が被害を受けるっていうのは、国際ルールにも反する行為ですので、中国からすると、このエスカレートは、やや想定を超えた事態だと思います。

一方、日本側も、中国の当局者との間では、ある程度、この問題は理解ができるだろうと予想していたので、これほど迷惑行為、嫌がらせの電話などが殺到するようなことは、日本側からしても、想定を超える事態になっていると思います。