【大会4日目】

■男子走幅跳 橋岡優輝(23・富士通)※最優秀選手賞
4月に行われた競技会で左足首を痛めた橋岡だったが、2回目の跳躍で8ⅿ27をマークし、参加標準記録を突破、2年連続5度目の優勝を果たした。
「世界陸上内定と優勝、本当によかったです。(左足首の痛みで試技を2本で中止した4月30日の)木南記念後はカーブは走れなかったので、直線を折り返して走ったり、ウエイトトレーニングを重い重量ではなく、フォームやどこに効かせるかをすごく考えてやっていました。8m27は久々に良い跳躍ができたな、という感じがしたので、まずは及第点かなと思います。オレゴンに向けて良い状態になってきています。オレゴンは東京五輪の翌年なので若干気持ちに余裕を持ちながら、19年の世界陸上ドーハ(8位)よりも良い結果を持ち帰れれば、と思います」

■男子110mハードル 泉谷駿介(22・住友電工)
前回大会、13秒06の日本記録で優勝した泉谷は今季、左足首の捻挫により4月29日の織田記念予選以来の実戦となった。すでに参加標準記録をクリアしていたがスタートから全開、13秒21でゴールし連覇した。「いまは完全とは言えないんですけど、調子をうまく戻してこれて良かったです」と復帰戦に手ごたえを感じていた。
「内定はやはりうれしいですし、安心しました。村竹がけっこう来ているのは、ちょろっと見えていたのでわかりました。やはり、1位で内定するのは(2位とは)違うと思います。ちょっと向かい風でしたが、自分は向かい風の方が走りやすいので、良い感じになりました。世界陸上まで調子は維持して、技術よりも、もう1段階から2段階、キレや出力を上げられるようにしたい。東京五輪は準決勝落ちして、まだまだ練習が甘いと痛感しましたし、練習でも世界陸上の準決勝、決勝を意識して行うようになりました。東京五輪の悔しさを世界陸上で晴らせるように頑張ります」

■男子110mハードル 村竹ラシッド(20・順大3年)
ゴールデングランプリ(5月8日)を13秒34で優勝していた村竹は予選で13秒31の日本歴代4位のタイムを出し、世界陸上の参加標準記録を突破。泉谷に続く2位に入り代表に内定した。
「去年の日本選手権決勝のフライングが大会前や、昨日の夜、レース前はよぎりましたけど、レースに集中すれば関係ありません。1年を通して自信になるよう練習を積み重ねて来られました。それが一番、落ち着いてスタートすることにつながりました。日本選手権の(予選・準決勝・決勝の)3本で、さらにレベルアップできる感覚をつかめたと思います。その感覚をものにして、体力を戻してレベルアップして、世界陸上では決勝に残れるよう頑張りたいです」

■女子5000m 田中希実(22・豊田自動織機)※最優秀選手賞
800ⅿ決勝から約70分のインターバルしかない中で挑んだ5000ⅿで、田中は驚異のラストスパートを見せた。15分05秒61で走り切り優勝。参加標準記録を突破していたため今大会、2種目目となる世界陸上代表内定を勝ち取った。
「昨年は(800m・1500m・5000mの)3種目出ることを恐れながら走っていましたが、今年は去年の経験もあって、3種目出場すること自体に抵抗は大きくありませんでした。しかし去年の5000mは、東京五輪代表が決まっていて失うものはなかったのですが、今年は失敗したら世界陸上の代表権を失ってしまいます。そこのプレッシャーに負けず、3種目総合して去年を上回る成績を残すことができ、去年以上の力を確認できました。オレゴンに1500mと5000mの2種目で出場することになったら、両種目とも東京五輪と違って決勝という場に立って、両方とも中途半端にならない、ということを意識して臨みます。東京五輪は5000mが決勝に残れなかったことが1500m(の8位入賞)に生きることになりましたが、5000mも決勝に残っていたら両方中途半端になったと思います。今年は両方で決勝に残って、両方で戦うぞ、という手応えを今回の日本選手権で得ることができました」

■女子5000m 廣中璃梨佳(21・JP日本郵政G)
10000ⅿですでに代表に内定している廣中はこの種目でも参加標準記録をクリア。連覇をかけたレースはラスト、田中の驚異的なスパートについていけず15分11秒08の2位。しかし3位以内の条件を満たし、田中と同じく2種目目の代表内定となった。
「(田中に敗れた20年)12月の日本選手権5000mときのように競り負けて、すごく悔しい展開になりました。田中先輩とはスピードの差があるので、行けると思ったタイミングで自分から仕掛けようと思っていましたが、仕掛けきれなくて、自分の弱さが出ました。世界陸上ではまだ、格上の選手ばかりなので、誰がライバルという段階ではありません。そこは全てを出し切る思いで、積極的にレースを展開できればいいな、と思います」