「最後まで体を張った叔父のように」

「親戚のなかで、一番仲が良かったんです。すらっとしていて、無口で、格好良くて…」

古張さんは当時53歳。毎年の正月には、お年玉をもらっていた。1万円。当時のあばれる君にとっては、大金だ。まるで「福の神」のような人だった。

叔父の人柄を改めて知ったのは、葬儀の時だった。多くの同僚の警察官が参列し、叔父の死を悼んでいた。現場経験が豊富で、若い警察官から慕われる、優しい人だったという。

「最後まで、人に尽くしたのだなと思いました。危機に面したときに立ち向かっていく勇気、姿勢は、本当に格好が良いと。叔父さんは最後まで体を張った。だから、僕も、最後の最後まで体を張り続けようと決めました」

芸人としてのキャリアを十分に積んだ今も、体を張り続けている。

今回の特番「関東大震災から100年 あす巨大地震が来たら」では、関東大震災で東京の町を襲った炎の竜巻「火災旋風」を再現する巨大実験をリポートし、その恐ろしさを身をもって体験した。

「今回、実験に参加して、火の回るスピード、熱さに言葉を失ってしまいました。とても怖かった。火災を起こす地震は、次も必ず来ると言い切っていいと思います。地震が起きた時に、最低限の知識や避難方法、避難場所を頭に入れておくことが、必ず必要だと強く感じました」

「ちょっとした意識が力になる」防災意識の大切さ

東日本大震災を機に、あばれる君の意識は変わったという。

「たとえばスマートフォンは魔法のような道具なのだけれど、いざ災害時になったら繋がらなくなる。今まであったものが無くなる時って、大きな不安に襲われるじゃないですか。普段から意識をしていないとダメだなって思っています。食料とか水とか最低限確保しておくとか。意識をしていなかったら、災害時にどう動いたら良いか分からなくて、さらに不安になってしまう。普段から意識していくことが、とっさの時に力になるのかなって思います」

忙しい日々の傍ら、東日本大震災や水害などの被災地にも足を運ぶ。

「自分が、顔を見せるだけでも喜んでくれる子供たちや大人たちの存在を知った。それならば、少しでも自分が力になれば、と思うんです。福島について言えば、震災前のように人がたくさんいた街並みに戻れるのかが不安です。でも、福島は力強く前を向いていると思います。若い力が支えて、風景の素晴らしさや特産物のおいしさを伝えていきたい」