「このままでは伝統の担い手がいなくなる」。
強い危機感を覚えた観光協会は、夏の花火大会に代わる花火を打ち上げようと、去年8月に市民から寄付を募りました。すると支援の手は、関東や九州、海の向こうからも差し伸べられ、寄付金は当初の目標を100万円大きく上回る1658万円が圧集まり、伝統存続のための打ち上げ花火の開催実現にこぎつけたのです。
そんな熊野の花火の“見どころ”を屋敷さんに教えてもらいました。
(屋敷さん)
「海上自爆。3尺玉っていう、日本でも一番でかいぐらいの花火。これを海の上で爆発させることによって、半円チックな花火が上がるんですよ。船がダッシュで逃げるの」

海上自爆とは、その名の通り海の上で爆発させる花火。
観覧席となる浜の目の前に広がる海に浮かぶ鉄製の“いかだ”にのせられた3尺玉に、船に乗ったスタッフが火をつけます。そして…
(アナウンス)
「ただ今、全速力で船が逃げております。全速力で船が逃げております」
「5、4、3、2、1」
(見物客)
「うわー!」
ズドーンという重い花火の音。3尺玉が破裂し、海の上に大きな半円を描いています。その直径はなんと600メートルに及びます。

浜に集まった大勢の人たちが大きな拍手を送ります。