世界的な海水温の上昇による漁業への影響です。富山湾の8月の海面水温は、富山県水産研究の調査で30.38℃と過去最高を更新。専門家は「このまま海面の高水温が続けば、今後の漁に影響が出る可能性がある」と指摘します。
富山県水産研究所 阿部隼也 研究員:
「8月の海面水温、水深0メートルの水温になりますけどもこれが非常に高くて過去最高の値となりました。30.38℃になります」

県水産研究所は毎年8月上旬に富山湾の海面水温を測定、海水温の調査を行っています。

県水産研究所が調査した過去10年間の富山湾の海面水温のグラフです。ことしは30.83℃と統計を取り始めた1957年以降で初めて30℃以上となり最高を更新。これは平年より3℃も高いといいます。

富山県水産研究所 阿部隼也 研究員:「7月の気温の影響が非常に高いと思います。ことしの7月非常に暖かかったということもあるので」「富山湾は9月が一番水温が高い月になるんですけども8月これだけ水温が高かったということでそれよりも上がることになりますし、平年よりも最高水温が高いということになりますのでその後の水温も高いということが考えられる」

こうした海面水温の上昇で気になるのは漁業への影響です。年間でみると夏場はもともと漁獲量が少ないため、現時点では影響を判断できないとした一方で。

富山県水産研究所 阿部隼也 研究員:「それぞれの魚種で適水温っていうものがございますのでその適水温かからずれてしまった場合には例えば今まで富山湾に生息出来ていた魚が生息出来なくなったり今まで来遊してきたものが来遊しなくなったりとか来遊がちょっと遅れたりそういうことは考えられます」

来月、解禁される秋の味覚ベニズワイガニ。海面水温の上昇による影響はないのでしょうか?

富山県水産研究所 阿部隼也 研究員:「ベニズワイガニの量に関してはあまり影響はないと考えています。というのも紅ズワイは水深が深いところに生息しているものになりますので今回0メートルの水温が高かったことは関係ないと思います」

一方で富山湾ではことしホタルイカの漁獲量が418トンと例年の3割に届かず記録的な不漁となったほか、例年12月から1月がピークとされるブリも、3月に漁獲量が伸びるなど漁期にも異変ががみられました。

富山県水産研究所 阿部俊也 研究員:
「今回の8月の水温っていうのがこの後の冬とか春のブリとかホタルイカの漁業に直接的に影響してくることはないと思うんですが今後この高水温が続いた場合には漁獲量であったり漁期が例年と違ってくる可能性はある」