心が元気じゃない若者が増えた。でも、人は変われる

――若者に抱く想いとは。

里村明衣子氏:
10年前に比べて、心が元気じゃない若い子がすごく増えたなと思います。「朝起きられません」とか「やる気がないので今日休みます」とか、最初からやる気がないという子が多いんです。

――プロレス団体に入ってくるということはレスラーになりたいと思った人たちだが。

里村明衣子氏:
気持ちはすごくあって夢もあるのに、いざ、練習を続けると「今日は行けません」とか。そこで、この子は何が原因なのだろうと考えます。2日、3日はいいですが、4日ぐらい休んだら会って。でも、最初は絶対自分の本音を言わないです、そういう子たちは。ドライブしながらとか2時間ぐらいかけて雑談して、やっと本音をポツポツ言うようになってきて、家庭の背景とか今までの生活とかで原因がわかってくるんです。

――若い人は人と話すことがあまり訓練されてないという印象も受けます。

里村明衣子氏:
自分の中で悩みを持っていたとしても、今は携帯の中でいろいろな答えが出てくる。私はSNSで解決するのではなく、今一番近くにいる人とちゃんと会って話をしようと言っています。話をしているとすごく目が輝く瞬間が出てくるんです、必ず。最初は全然笑わないなと思っても、1年後にはずっと笑顔でいる。人って変わるので。

――選手たちの将来の姿が見えてくるものですか?

里村明衣子氏:
例えばデビュー前に、「何色のコスチューム着たいの?」とかと聞くと、「ああしたい、こうしたいです」というイメージが自分であるので、それに向けて頑張ろうねと。あとは意識を言葉で変えさせるというのはすごく大事だと思います。「練習に行きたくないです」とかいうことを繰り返しながら、それでも頑張って練習に来て、だんだん上達してくる。この子は今調子がいいなというときに言うんです。「あなたはプロの世界に入って、これから人気も出るし、あなたに憧れて来る子もいっぱい出てくると思う。もう代わりがいないんだから、試合の日に『やる気がないから休みます』とか言えないよ。ちょっと気持ち切り替えようね」ということを言うと、「わかりました」。そこからガラッと変わります。

――気付きを与えるということですか。

里村明衣子氏:
プロとしての責任と社会人としての切り替えですね。そこを言葉にすることによって、その子の中にも入ってくるので。ちょっと心に傷を負った子とか、前に進めないという子たちの背中をいかに押してあげるかというところはすごく考えます。新人育成の1年間でわかったのは、ちゃんとそばにいて向き合っていれば、どんなことでも乗り越えられる。精神的にきついことでもちゃんと向き合って目標を一緒に立てていけばできる、人は変われるんだと思いました。

――最後に、里村氏の考えるSDGsとは?

里村明衣子氏:
「自分にとっての幸せを大切にする」。自分の道のりもそうですが、人がちゃんと健康に幸せになるには心の健康がすごく重要だと思います。人の幸せを邪魔したり、批判したりとかのない世界にしていきたいですね。

(BS-TBS「Style2030 賢者が映す未来」2023年8月20日放送より)