青木さんのサイトガイドを務める小島理瑚さん(28)。

(小島理瑚さん)
「宏美さんは配置も距離もわからないので、最後に触ったホールドから時計の針で方向を示しています」

ガイドで伝えるのは、次のホールドへの方向と距離。方向は時計の文字盤に例えます。この紫のホールドは「2時」。距離は指先から肘までの長さを基準に「普通」か「遠め」、「近め」と表現します。さらにホールドの形。これでどう掴んだら良いかが分かります。

(小島理瑚さん)
「初手が『2時』『普通』」

登る前には、一通り登るルートを教えてもらい、頭の中でイメージ。

壁まで小島さんに案内してもらい、登る前に触れるホールドは一度触って位置を確かめます。

(小島理瑚さん)
「『2時』『普通』そうそれOK、左左左下、そう」

青木さんの手足の長さと筋力を考えて、確実に登れるガイドをしています。

(青木宏美さん)
「(Q.小島さんのガイドはどうですか?)最高です。声も聞きやすいし、安心して登れる。(Q.青木さんには何が見えている?)私の頭の中のイメージの壁とホールドが見えているというか映っている。ベージュの壁にグレーっぽいホールドが付いているのが頭の中に浮かぶかな」

幼い頃は弱視で、今より少しは見えていた青木さん。小中学校ではほとんどの授業を健常者と一緒に受けていました。高校の途中から盲学校へ。マッサージ師や鍼灸師の国家資格を取って現在は、整形外科クリニックで働いています。

(同じ職場のスタッフ)
「親切、丁寧に。真面目にやっている。ファンもいっぱい」

(林整形外科クリニック・林信彦院長)
「患者さんとお話しながら一生懸命やっている。ボルダリングをやっているので手は強い。しっかりマッサージとか施術もできる。自分のやりたいことで目的を持ってやれるというのは尊敬する。(大会も)頑張ってほしい」

そんな中、出会ったのがパラクライミングでした。きっかけは、37歳の時に夫の友人のすすめで体験会に参加したこと。自分がクライミングをするなんて思ってもみませんでしたが、全身を使って“上を目指す楽しさ”に魅了されたといいます。

(青木宏美さん)
「(Q.元々スポーツは得意だった?)全然、不得意。面白いと思ったから私はもうそれからずっと…」