お客さんとのふれあいが原動力

繁殖管理は、搾乳し販売する酪農経営にとって欠かせません。大谷さんが船方農場に就職を決めたのは、お客さんとも触れ合える観光牧場としての役割があることでした。

大谷さん
「私も放牧で牛を連れて行ったときにソフトクリームを食べましたとか聞いて、おいしかったですって言われたらこっちもうれしいので。頑張ろうって思えます!」

お客さんからの生の声が原動力になっているようです。

大谷さん
「一頭一頭個性もあって、毎日同じことをするのではなくて病気になったりとか脱走したりとかハプニングもあるんですけど、それが逆に刺激になっています」

牛の体調不良にも対応

まさにこの日も体調が悪い牛を見つけ、対応に追われていました。食欲もないため熱を測って体調を確認します。

大谷さん
「40・7度」

牛の平熱は、38度台。熱があることが判明し、ここから考えられる原因を究明していきます。

大谷さん
「最近乳房炎っていうのが多くてそれで熱が出る牛が何頭か出ていて」

乳房炎は、湿度の高い時期に発症しやすい病気です。また、産後まもなくで免疫が落ちているとかかりやすくなるといいます。簡易の検査キットで確認したところ、乳房炎と思われる反応が。この後詳しく検査するためサンプルを採取して獣医に引き継ぐことになりました。

大谷さん
「教科書では読んでいても、こうやって実際に現場に出てみて目の前で先生が治療しているのを見て覚えています」

牛との日々が成長に

少しの体調の変化も見逃せないため、本格的な知識が求められます。また健康に過ごせる環境づくりも欠かせません。

床替えは、牛舎の中で過ごす牛にとって清潔な環境を保つために重要な作業なんです。大きなトラクターを扱う作業も慣れた手つきで進めていきます。朝が早く、体力を使う仕事でも不安はありませんでした。「ただ牛がいるだけでいい、それだけで楽しくて幸せ」大谷さんはそう話します。

大谷さん
「毎日同じようなつまらない生活はないです、絶対何かあるので。こっちも成長できて」

入社して4か月、まだ慣れないこともありますが、憧れていた環境で奮闘しています。「酪農」という職業を身近に感じてもらえるように。これからは大谷さんが感じる牛の魅力を多くの人に伝えていくつもりです。