義務教育を十分に受けられなかった人が学び直す「夜間中学」。公立校設置を求めて、取り組んできた団体が、10周年を祝う記念の式典を開きました。コロナ禍で開催が遅れていましたが、大きな節目での式典となりました。6月4日、福島県福島市のとうほう・みんなの文化センターに全国から夜間中学の関係者が集まりました。

福島駅前で自主夜間中学を開く傍ら、公立校の設置を求めて、取り組んできた団体が、活動を始めて10年。この日、記念の式典が開かれました。
福島に公立夜間中学をつくる会・大谷一代代表「コロナ禍で度重なる延期を経て、本日10周年記念集会を開催する運びとなりました」

冒頭、こうあいさつした代表の大谷一代さん。活動を始めてから10年が経ったのは、おととしでしたが、新型コロナの影響で、式典はこの日まで延期されてきました。
しかし、去年12月に、福島市が、公立夜間中学を開校することを決め、期せずして大きな節目での開催となりました。
大谷さん「1年前にこの会場を予約したときには決まっていなかった2024年の福島市立夜間中学の開校をみなさんに報告できることは心からの喜びです。福島市の決断、福島県の支援に感謝します」

式典には、音楽家の大友良英さんも駆けつけ、生徒ともに作った福島駅前自主夜間中学の校歌を合唱しました。

大谷さん「とても感動しました。真ん中で歌わせていただいて、こんなに晴れがましくていいのだろうかと思いました」
高校生のときに、バンドで演奏して以来、初めて文化センターの舞台に立ったという大友さん。この校歌について、次のように「宣言」しました。
大友良英さん「きょうの機会があったので、また録音できればと思っています。なので、これがCDになります」

自主夜間中学の生徒・関口トヨ子さん「本当に私も夜間中学のことを知って、また明るく元気に勉強してみようと。94歳のピカピカの1年生もおりますので…」
式典では、夜間中学の生徒が登壇し、それぞれの経験を話して、学び直すことの大切さを訴えました。
井上次男さん「親父が97歳、おふくろが99歳です。帰ったらちゃんと報告して100歳の親孝行をしたいと思っています」

李俊萍(リシュンピョウ)さん「夜間中学では楽しく勉強できます。ずっとこの気持ちを持ち続けて頑張りたいと思います」

このほか、支援を続けている文科省の元事務次官、前川喜平さんが講演。約90万人が義務教育を終えていないという国勢調査のデータを紹介し、夜間中学の重要性を訴えました。
さらに、おととし放送されたTUFのドキュメンタリー「生徒が主役~福島駅前自主夜間中学の10年~」も上映され、これまでの歩みを振り返りました。
再来年に公立校が開校されるというタイミングで、開かれた今回の式典。大谷さんたちは、公立校ができた後も、自主夜間中学は、継続していくことにしています。