ちょうどそのころ、川根地区では、仕事終わりの若連中たちが、管絃祭で使う御座船を作っていました。事前に作った竹の骨組みをロープで補強します。

若連中たち
「久しぶりだと覚えてないことが多いですよね」

― 今、何を?
「ここに提灯を全部つけます」

実は、御座船の設計図はありません。若連中たちは、これまでの経験を頼りに飾り付けや電飾を施していきますが…、まだまだ亀崎さんのアドバイスが欠かせないようです。

元頭取 亀崎良隆 さん
「これに神さんが乗っとってんよ。御神体よ」

制作時間は予定より少しオーバーしましたが、「御幣」を船首に設置し、御座船は無事に完成しました。

白山貴浩 カメラマン
― 御神酒、どうぞ。
「えー、ぼくですか? 量が多い、だいじょうぶかな」

若連中
「帆を起こせ」

囃子を合図に御座船が出発―。台車に載った御座船の大きさは幅2メートル・長さ10メートル。暗闇の中、神社までの4キロの道を若連中が押して進みます。

白山貴浩 カメラマン
「思ったより速い。すごく蛇行しながら」

若連中
― けっこうフラフラ行くんですね。
「船っぽくないですか?」

― 船っぽいですけど、だいじょうぶですか? たいへんそうですね。
「むちゃ、たいへんです」

「危ない! 右に寄って」