ヤンマースタジアム長居と相性の良いサニブラウン

今年の日本選手権会場のヤンマースタジアム長居は好記録が出る競技場と知られている。男子100mでは日本選手による10秒10未満のパフォーマンスが9回出ている(最多は鳥取の布勢競技場の10回)。

【ヤンマースタジアム長居での日本選手 10秒10未満全パフォーマンス】
10.00(0.2)山縣亮太 2017/9/24 全日本実業団陸上
10.01(0.0)山縣亮太 2018/9/23 全日本実業団陸上
10.01(1.7)桐生祥秀 2019/5/19 ゴールデングランプリ
10.03(0.5)山縣亮太 2016/9/25 全日本実業団陸上
10.04(1.7)小池祐貴 2019/5/19 ゴールデングランプリ
10.05(0.6)サニブラウン 2017/6/24 日本選手権・決勝
10.06(0.4)サニブラウン 2017/6/23 日本選手権・予選
10.06(0.5)サニブラウン 2017/6/23 日本選手権・準決勝
10.08(-0.9)ケンブリッジ飛鳥 2017/6/23 日本選手権・予選


個人別では山縣亮太(セイコー)とサニブラウンの3回が最も多く、サニブラウンと長居競技場との相性は良い。10秒05と、今回の標準記録と同じタイムで走っている場所だ。それを再現させたい。

今季の日本勢はサニブラウンが10秒15(+0.4)、福島聖(富山銀行)が10秒17(+1.7)、桐生祥秀(26・日本生命)が10秒18(+1.5)、栁田大輝(18・東洋大)が10秒19(-0.2)と、4人しか10秒20を切っていない。

日本記録保持者の山縣は昨年10月に手術した右ヒザの回復が不十分で、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)も4月に交通事故に巻き込まれた影響で欠場する。桐生と前回チャンピオンの多田修平(25・住友電工)は今シーズンに入ってからケガをした。


桐生選手(6月8日)

サニブラウンの話した「上がる一方」は、日本の100m全体にも当てはまる。

「10秒05を切っていない。そのタイムを目指して走ります」(桐生)
「優勝と10秒05。その2つを達成できたら笑顔で終われます」(多田)



2021年の日本選手権を制した多田選手

前回優勝者の多田や9秒台を持つ桐生、小池祐貴(27・住友電工)の復調に期待がかかる一方、新戦力として大学1年生の栁田が注目されている。ゴールデングランプリでは小池に続いて日本人2位に入り、関東インカレは1年生ながら貫禄を感じさせる勝ち方だった。高校2年生時のゴールデングランプリに出場するなど、当時から高校生の枠を超え、シニアの大会にも積極的に参加してきた。

東洋大1年の栁田大輝選手(5月8日)

日本選手権も過去2年連続で入賞している。今年は標準記録を突破し、世界陸上代表入りを目標に掲げている。

「去年(7位)、一昨年(7位)と決勝で良い走りができていません。予選、準決勝と着順で突破して、決勝でどう走るか。3回目なので優勝を狙いつつ、自分の走りをしないと」

この日本選手権から、好記録がどんどん出始めて、10秒05の標準記録突破者も誕生することも期待したい。