モノだけでなくカネの流れも制限へ
アメリカのバイデン政権は9日、アメリカの企業・個人の中国への投資を規制する新たな制度の導入を発表しました。先端半導体、量子技術、AI(人工知能)の3分野を対象に、中国への新規投資に届け出を義務づけ、軍事技術に関連するものは禁止する方針です。
すでにアメリカは2022年に先端半導体関連の対中輸出禁止措置を発動しており、モノ、人に続いて、カネの流れも大きく制限することに舵を切りました。資本の自由な移動を標榜するアメリカがこうした大規模な資本規制を行うのは異例のことです。
議会の対中姿勢が、極めて厳しいことがバイデン政権を動かしているのですが、それはアメリカ世論の反映でもあります。先端製品以外の普通のモノの貿易には、何の制限もないはずですが、この「空気感」こそが「メイド・イン・チャイナ」を避ける消費行動につながっていくのでしょう。
デフレ化する中国経済にさらに痛手
中国国家統計局が9日発表した、7月の消費者物価指数は、前年同月比で0.3%の下落と、ついにマイナス圏に沈みました。名実ともにデフレ入りです。
コロナ禍からの経済回復どころか、不動産価格の下落に、若年失業者の増加、地方政府の財政難など、中国経済には構造的な問題が続々とのしかかっています。
中国経済は、貿易の停滞によってさらに下押しされるでしょう。そして、これまで「自由な貿易システム」からどれほど恩恵を受けていたかを、認識することになるでしょう。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)














