10日、台湾を訪問していた自民党・麻生副総裁が「戦う覚悟です」と発言し、中国側はそれに反発。なぜ台湾問題に触れたのか?発言の真意に迫ります。
実は冷静な中国
加藤シルビアキャスター:
8月7日から9日の間で行われた麻生副総裁の台湾訪問。自民党によりますと、副総裁という立場の訪問は、1972年以降初めてだということなんです。台湾政府から招待を受ける形で実現しました。
訪問した狙いについては、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したい考えだということなんです。

8日にありました国際フォーラムの中での発言で、軍事的圧力を強める中国を念頭に置き、「最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で、戦争を起こさせないこと。強い抑止力というものを機能させる覚悟が求められている。“戦う覚悟”です」といった発言がありました。

これに中国側は反発しています。
在日中国大使館は9日、「身の程知らずで、でたらめを言っている」と、内政干渉だとして、日本側に抗議を行っています。
また同じ日、中国外務省は、「日本の個別の政治家が、台湾問題でとやかく言う資格はどこにあるのか」と、反発を強めている状況です。

この状況をどのように見たらいいのか。拓殖大学の富坂聰 教授によりますと、「麻生氏の今回の発言は、中国側としては、日本が台湾問題に口を出しているということで、許容範囲を超える」としながらも、一方で、「中国側の実際の動向は冷静だ」ということです。国際的なイメージを守ろうと、国内の報道などが抑制的に対応されているのではないかということでした。