「加害の歴史」踏まえ生徒たちが議論

記者
「ウクライナへの武器供与などについて理解を求める、時代の転換と称した政府主催のイベントが行われます」

ドイツ北部で行われたシンポジウム。メルケル前首相のもとで長年、外交顧問を務めたホイスゲン氏は、ドイツ政府の方針転換に理解を求めました。

ホイスゲン ミュンヘン安全保障会議議長
「ウクライナに武器を供与しなければ、ロシアはさらに多くのウクライナ人を殺し追放するでしょう」

しかし、反対派の市民からは批判が相次ぎました。

反対派の市民
「平和を導くための交渉をしてください。今交渉しなければ、数万人の人が死にます」

第二次世界大戦を引き起こした反省から、他国への武器供与に慎重な姿勢を貫いてきたドイツ

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻がそれを一変させました。

ドイツは侵攻前の2022年1月、ウクライナに対して武器供与を行わず、軍用ヘルメットの供与にとどめたことで、国内外から厳しい批判を浴び、侵攻直後には、ついに地対空ミサイル500基などを供与すると発表。

ドイツ ショルツ首相
「私たちは『時代の転換』を目の当たりにしています。世界は、これまでと同じではなくなるのです」

ショルツ首相は連邦議会の演説で理解を求めた上で、国防費をGDP国内総生産の2%以上へと大幅に引き上げることを確約しました。

さらに、2023年2月には世界で最も優れた戦車の一つとされる「レオパルト2」の提供にまで踏み切りました。供与決定直後の世論調査では、判断は正しいと答えた人が52%に対し、正しくないと答えた人が39%と賛成が半数を超えました。

殺傷兵器の支援や軍事費の増額といった時代の転換を市民はどのように受け止めているのでしょうか?

「つまずきの石」の設置に向けて、生徒をサポートしてきた歴史教師のラース先生は、ウクライナ人の命を守るためには、時代の転換もやむなしと考えています。

歴史教師 ラース先生
「武器や暴力なしにヒトラーを止めることはできなかったと思います。ドイツが戦争に関与することに矛盾はないと思います」

ドイツの歴史の授業では、ナチス・ドイツの学習に多くの時間が割かれています。この日は生徒たちがグループにわかれ、戦後ドイツが加害の歴史にどのように向き合ってきたかについてディスカッションを行いました。

男子生徒
「西ドイツは最初は過去の歴史から目を逸らして向き合おうとはしていなかったんだ」

女子生徒
「西ドイツではナチスの幹部だったのに。いい役職について利益を得た人もいたしね」

こうした加害の歴史を踏まえた上で、ラース先生は、ウクライナへの武器支援などを行う時代の転換について生徒たちに問いかけました。

男子生徒
「ナチス支配下では、多くの人が見て見ぬふりをして、共犯者になったんです。ロシアにはウクライナを占領させてしまってもいいというのではなく、ウクライナ側に立って防衛するのを助けるべきだと思います」

女子生徒
「ドイツが戦争を支援しているならば、矛盾していると思います。ドイツには反省すべき過去の歴史があるからです」

生徒たちの時代の転換の受け止めについて、ラース先生はこう解説します。

ラース先生
「多くの生徒は『ウクライナは支援を受けるべきだ』と考えています。一方で、『干渉や戦争をすべきではない』という生徒もいます。この問題はドイツの社会を分断しています」