保険証廃止“延期せず”見た目も同じ?「資格確認書」とは

山本 恵里伽キャスター:
保険証が2024年の秋に廃止されることになりそうです。では、マイナカードを持ってない人はどうすればいいのでしょうか?そこで、用意されたのが「資格確認書」です。最近よく聞く言葉ですが、具体的に見ていきます。

「資格確認書」は
・保険証と同じ機能
・顔写真は入らない
・紙やプラスチックのカード型

違う点としては
有効期間5年で最終調整 

しているということです。

小川彩佳キャスター:
つまり「資格確認書」は、いまの保険証と見た目も機能もほぼ変わらないということですか?

川西全政治部官邸キャップ:
元々政府として、マイナ保険証に移行してほしい、そのための繋ぎとして用意したのが「資格確認書」なんですね。ただ、これだけ「今の保険証の方がいい」という声があるので、少しでもその人たちにも使い勝手がいいように、あえて今の保険証に似たような機能の「資格確認書」というのを設けてるわけです。

小川キャスター:
でも、ここまで似ているのであれば、わざわざ「資格確認書」に切り替えずに今の保険証のままでいいのではないかと思ってしまいます。

川西キャップ:
今まさに野党側が同じような主張をしていて、1年間の資格確認書の発行コストは会社員などの被用者保険で、年間241億5900万円分「資格確認書」にすることで増えてしまうといいます。

立憲民主党の長妻政調会長は「お金も手間もかかることをあえてやるのは理解不能」と言ってます。一方、政府側の言い分としてはデジタル化は待ったなしということを言っていて、今の保険証の問題としては、顔写真がないこと。これによってなりすましや保険証の貸し借り、悪用みたいなことができてしまうんじゃないか。それが横行しているのではないかということを言っています。

これはマイナ保険証というよりも、医療のデジタル化全般に言えることですが、厚生労働省によりますと、今の保険証によって、事務的なミス、書き間違いだったり昔の保険証を使ってしまったりなど、年間500万件程度あると言われています。これによって1000億円以上、無駄が出ていると言われてまして。これをデジタル化によって無駄を省きたい、こうしたことも思惑としてあるようです。

山本キャスター:
とはいえ、医療現場からは悲鳴の声が上がっています。福岡市医師会では「読み取りができない」など“何らかのトラブル”が83%、医師会会長は「煩雑さが増えたという意見が半数以上」だったということです。他にも、大阪府保険医協会は、「情報が反映されていない」などの何らかのトラブルが69%、協会としては今の健康保険証の存続を求めているということです。

小川キャスター:
既にトラブルも起きている、そして様々な手間も発生しているにもかかわらず、岸田総理は2024年秋に廃止しない、廃止延期をしないということを判断した。この背景には何があるんでしょうか?

川西キャップ:
岸田総理は元々、周囲に対して「デジタル化もマイナンバーカードの普及というのも絶対やる」と言っていましたが、やはり世論調査で理解があまり得られていない。また現場のこういった声を受けて、手法に問題があったのではないかと感じたようです。そこで萩生田さん、世耕さんなども「やはり廃止の時期にこだわるべきではない」のようなことを言って、官邸の中枢である木原副長官、岸田総理も延期の方向に一時、完全に傾いたようです。

ですが、その後、河野大臣、加藤大臣は明確に反対するということになりました。なぜかと言うと、期限を延期するためには、6月に成立したばかりのマイナンバー関連法をまた国会で法改正しなければいけない。その手間が大変で、「そんなことをしたら秋の臨時国会がマイナンバー国家になってしまうじゃないか」こんな声があがりました。

最終的に麻生さん、茂木幹事長が「資格確認書で対応できるんじゃないか」みたいなことを総理との三者会談で伝えまして、当面は予定通り、保険証を廃止する方針でいこうということが固まったようです。

小川キャスター:
4日に記者会見が行われるということですけども、マイナ総点検後の表明では駄目だったんですか?

川西キャップ:
4日の会見は、秋にマイナンバーの総点検の結果が上がってくるということで、結果などを見極めた上で、「更なる期間が必要と判断する場合には必要な対応を行う」ということを表明します。

これは何が言いたいかというと、将来的に延期するかもしれませんよという可能性を残したものだということです。

なぜ総点検の前なのか、ということに関して官邸関係者は「この政権ではよくあることでしょう」と言っていました。総理が先に方針を示してリーダーシップを見せたかったのではないかという指摘があります。