「今後は半潜水型ドローン、もしくは水中ドローンが主力になる」

弾薬の軽量化など技術のウクライナに対し、イラン製ドローンを自国生産し量産化するロシア。

空のドローン戦力は拮抗しているが、目を海に向けるとウクライナが圧倒的にリードしているようだ。海洋ドローンに精通する専門家・ミグダリ氏は「ウクライナは直近2年間で海洋ドローンの開発と利用において世界的リーダーになった」と語る。

海洋ドローンの開発・利用に詳しい軍事評論家 セルゲイ・ミグダリ氏
「開戦当初、ロシア軍はヘルソンを通ってミコライウを制圧したのち、オデーサの港に入った軍艦から上陸した兵士たちがオデーサを包囲する予定だった。成功していれば今頃ウクライナは独立国家として存在していなかった。しかし、それができなかった原因のひとつが、兵士を乗せる脆弱な軍艦にとって脅威となる海洋ドローンの存在だ。(中略)セバストポリを出港したロシアの軍艦はいつ海洋ドローンに攻撃されるかわからない状態だ」

海洋ドローンといっても種類は様々だ。先日ウクライナが公開したモーターボート型海上ドローン『MAGURA V5』は最高時速…78km、航続距離…830kmを誇る高性能だ。

しかし、これはウクライナの攻撃能力のほんの一部に過ぎないという。

海洋ドローンの開発・利用に詳しい軍事評論家 セルゲイ・ミグダリ氏
「モーターボート型も含めこれまでの全ての水上ドローンは、軍艦からも空からも攻撃されやすい。これからは半潜水型ドローン、もしくは水中ドローンが主力になる。本体は水中にあり、マストだけが水上にある。これは大きなメリットで、発見するのは非常に難しい」

既にウクライナが使用している半潜水型ドローン、『TLK‐150』。全長2.5m。航続距離100〜190km。カメラとアンテナが付いた細長いマストを持った魚雷といったスタイルだ。探知が困難な上、通信が途切れても自動操縦で敵に突っ込むという。ミグダリ氏は、クリミア橋の爆破にはこれが使われたと推測する。そして、ウクライナはさらに強力な海洋ドローンを開発中だという。

海洋ドローンの開発・利用に詳しい軍事評論家 セルゲイ・ミグダリ氏
「開発中の『TLK-400』という半潜水型ドローンは全長5~6mで構造距離は数百m、ひょっとすると1000kmくらいある。搭載できる爆発物の重さは400〜500kg。このドローンは大型の軍艦にも大きなダメージを与え、場合によっては沈没させることもできる大変危険な兵器だ。(中略)例えばこのドローンは、オデーサかイスマイルを出発し、南に向かい黒海をぐるりと回って予想外の方面からロシアの標的を攻撃できる。兵器の見つかりにくさ、思いがけない攻撃、予想外の方向からの攻撃、これらは成功の秘訣だ。(中略)ウクライナの最大の目標は最新型の海洋ドローンを使いロシア艦隊を制止し、潜水艦や戦艦が軍事基地から出られないようにすることだ」