島の「生と死」に向き合う 看護師の「うたさん」
瀬戸内海に浮かぶ、香川県土庄町の豊島(てしま)。かつて住民一丸で産業廃棄物の不法投棄問題と戦い、今では瀬戸内国際芸術祭で「アートの島」としても知られるこの島に、命を支える診療所があります。

人口減少、過疎高齢化が進む島で、日々島の高齢者たちの「生と死」に向き合う看護師・小澤詠子さん、通称「うたさん」に密着しました。

診療所の医療機器を、職員全員で運び出します。積み込む先は、救急車です。
(岩井医師)
「実際、島内で倒れた人を搬送に行くいうのも、全然道具も何もないので、小豆島の消防本部に古い救急車を更新するときに、中古を分けてもらった」
「ライトとかサイレンとか外して、ただの寝台車。でも患者さんを乗せられるストレッチャーはついてるんでね」
この救急車で週に1回、職員総出で出向くところがあります。

(岩井医師)
「『唐櫃の浜』というところへ行きます。漁師さんが多い地域なんでね、声がでかい」
(小澤さん)
「船のエンジン音に負けんように、みんな声を張り上げるからね」
(岩井医師)
「今日は来るかな、面白い人が」
週に1回 漁師の集落へ出張診療

港の診療所から5キロ離れた集落にある、もう一つの診療場所です。この地区の住民のために週1回出向き、診察を行っています。
(岩井医師)
「ずいぶん昔は、海苔小屋とか簡易集会所とかに使われていて、この手作り感がいいでしょう、このカーテン全部手作り。香川県さぬき市の県立津田病院が廃止になったときに、何でもいるもん持ってっていいよ言うから」

それでも患者の情報を、島の外の病院と電子カルテで共有するなど、設備は最新鋭です。
(岩井医師)「田んぼしょーるね」
(男性) 「えらい...(体重計に乗って)あー?!」
(小澤さん)「87.2キロ」
(男性) 「これ、めげとん(壊れてる)ちゃう?」
(岩井医師)「たぶんこのパンツ2キロあるんちゃう?」
