啓発のために立ち上がった「カナリア」
こうした公害に悩む患者たちの声を集めてできたネットワークがあります。「カナリア・ネットワーク全国」という団体です。全国各地に点在する、香害で困っているそれぞれの小さな声をまとめて多数の声として社会に発信しようと、少しずつ活動しています。
なぜカナリアかというと、石炭を掘り出す炭鉱で働く坑夫たちは、窒息ガスや毒ガス早期発見のための警報として、鳥の「カナリア」を使ったそうなんです。カナリアが空気の変化を素早くキャッチしたので、「カナリア・ネットワーク全国」の名前もそこに由来します。
支援団体というより、一緒に問題解決の方法を模索してくれる支援者のネットワーク作りを目的としています。「カナリア・ネットワーク全国」の中丸さん(仮名)にこれまでの成果と、今後の課題をお聞きしました。
ーー活動の成果は出ていますか?
「カナリア・ネットワーク全国」の中丸さん
「発足が2021年なんですけれども、非常にこういう団体ができたよっていうのがアピールになったので、それは私たちにとってまあ成果になってるかなと思います。そもそも全く認知されていなかった。私も自治体に言っても、あなたしかいないという見方をされましたし、ネットの中にはこんなに仲間がいるのに全く認知されていなくて、言葉自体の認知度が上がったことも大きいかと思います」
認知が上がったことで、実際にメンバーも2年で718人になりました。ではどんな活動をしているかというと、知識を得るために医師や科学者による勉強会を開催、専門家に依頼して実証実験を行ったりしています。