問題が相次ぐビッグモーター、新たに保険契約をめぐる疑惑が浮上しました。「契約後2~3か月で解約する不自然な契約が多数あった」「展示車や代車に、従業員名義で保険をかけていた」といった証言が。金融庁は31日、取引の実態などを調べるため、ビッグモーターと損保7社に報告徴求命令を出しました。

新たな疑惑浮上… 保険契約“ねつ造”か

大手損保関係者
「ビッグモーターとの取引で不自然な短期間の保険契約が多く見つかった」

次々と新たな疑惑が浮上している「ビッグモーター」。7月31日、明らかになったのは、保険契約の“ねつ造”疑惑です。

ビッグモーターは保険代理店として自動車保険を販売していますが、その中に、契約後2~3か月という極めて短期間で解約される不自然な契約が多数あったことがわかったのです。

契約時に一旦保険料が支払われた後、翌月から支払いが途絶え、そのまま契約が失効したケースが多いといいます。

ビッグモーターの現役社員は…

ビッグモーター現役社員
「実は展示車に(保険を)かけていた」

保険の契約数を増やすため、展示車両や客に貸し出す代車に対して、従業員の名義でうその保険契約をしていたケースが複数の店舗で数十件確認されているといいます。

保険業法違反のおそれもある“架空契約”は、なぜ広がったのでしょうか?

これはビッグモーターの経営計画書。

「保険をとるために車を売る」

保険販売に力を入れることが掲げられています。自動車とセットで保険を売ることが求められていて、“契約ねつ造”の背景にも厳しいノルマがあったとみられます。

ビッグモーター現役社員
「20%を切ったらダメ、保険って。(例えば)10台納車します。保険が1件だけしか取れなかった、今月。そうなると10%じゃないですか。“付保率”(保険契約率)が20%切ると降格」

仮に10台納車すれば、2件以上の保険契約を取らないと降格や減給の対象になっていたといいます。

ビッグモーター現役社員
「『数字が足りませんでした』と報告すると、マウスを投げつけられたり、手が出る人もいる。最悪、怒られるくらいなら自分で保険料1か月分払えばいいかなと」

ビッグモーターはJNNの取材に対し、「回答は控えさせていただきます」とコメントしています。

金融庁は7月31日、取引の実態や不正への関与などについて調べるため、ビッグモーターと損害保険会社7社に報告徴求命令を出していて、保険業法に違反すると判断されれば、厳しい行政処分を行う方針です。

今後の金融庁検査の焦点は

小川彩佳キャスター:
保険をめぐって次々と疑惑が出てきていますが、今後の金融庁による調査のポイントはどこになりますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
金融庁の調査が始まったということで、新しい局面に入ったと思います。一つは、ビッグモーター自体が保険代理店として活動してましたので、そこに不正があったかどうかっていう問題がありますね。
もう一つは、損保会社が“もたれ合い”がなかったかどうか。ビッグモーターはワンマン経営で、なかなか内部の検査やチェックができない。それから、非上場なので、株主のチェックも効かないというところで、保険会社・金融機関がどこまでチェックをしていたかどうかということなんですけど、むしろ癒着があったんじゃないかという疑念も持たれていますので、金融庁の検査でどこまでメスが入れられるか、そこがポイントになってくると思いますね。