“ノルマ未達成だと降格”というプレッシャー

南波キャスター:
背景にあるのが、厳しいノルマということです。
福井の例ですが、1か月の納車台数に対して、20%以上の保険契約数が、ノルマとしてあったという証言があります。例えば、10台納車したら、2台以上の契約が必要になるというものです。

個人でノルマを達成できなかった場合、役職の降格。役職手当が減ることになります。
店長代理という役職ですと、月々20万円、主任という役職でも、10万円。年間100~200万円の減額になります。
店舗で2割を達成できないと、店長交代。急遽、転勤を言い渡されるということもあったということです。

さらに現場では、契約を取れない場合には、かなりきつく言われるとか、ノルマに届かなかった際には、パソコンのマウスを投げつけられるといった事例もあったということです。
こういった状況から、31日、金融庁は保険業法に基づいて「報告徴求命令」、つまり、不正取引があったのではないかと疑われる中で、事実関係の報告などを求めているわけです。
ビッグモーターもそうですが、損保ジャパンなど大手・中堅の損害保険会社7社に対しても求めているという状況です。

ホラン千秋キャスター:
1つの車に対して、1年で何回も保険をかけ直す人もいたという話があるわけです。保険会社としては、1人の名前で、何度も保険がかけられているのに、保険金が払われてないことに対して、何かリストなどに載ることはないのですか?

萩谷麻衣子弁護士:
きちんと精査すればわかる可能性はありましたよね。その件に関しては、まさに報告徴求命令による報告がどうなるかというところに注目です。
この報告によって、違法な状態が認められたとすれば、ビッグモーターにしても、保険会社にしても、業務改善命令や、業務停止命令。ビッグモーターに対しては、保険代理店の登録取り消しなどの行政処分が考えられます。
ただ私は、問題はそこではなくて、この会社の所有者が、前社長・前副社長であることだと思います。いま、株を第三者に譲渡して、その第三者によって、しっかり立て直す、その道筋が大事じゃないかと思います。