脱GDPの難しさはあの「幸せの国」でも…

しかし、「脱GDP」は決して容易ではありません。
「幸せの国」として知られるブータンを舞台にした映画でも、資本主義に翻弄される若者の姿が…

※映画「ブータン 山の教室」
「オーストラリアに移住か?」
「何かを成し遂げたいんだ」

※映画「ブータン 山の教室」
青年教師「あ・い・う・え・お」「か・き・く・け・こ」

2022年アカデミー賞にノミネートされたこの映画の舞台はブータン。映画では、山奥の学校に赴任した青年教師が、本当の幸せとは何かを問い続けます。

この国では、以前から、経済成長よりも、「健康」や「環境」などの分野を重視する「GNH=国民総幸福」を提唱。幸福度を数値化する独自の指標を取り入れています。

ところが近年、この数字が上昇したにもかかわらず、インターネットで海外の情報に触れ、消費社会に魅せられた、多くの若者が海外に移住するなど、こうした指標の難しさを、改めて浮き彫りにしたのです。それでも斉藤さんは、新たな指標の必要性を訴えます。

GDPに変わる新たな指標は?

東京大学大学院・斉藤幸平准教授
「『とにかく成長を続けなければいけない』という資本主義の命令に私たちが全身全霊取り込まれてきた。ところが資本主義全体が行き詰まる中で、無理矢理成長しようとすれば、不正が蔓延したり、自然環境が破壊されるということになりかねない。GDPに変わる指標を考える必要性がある」

国民の幸せや豊かさを示す新たな尺度作りが、今、求められています―

(「サンデーモーニング」2023年7月30日放送より)