グテーレス氏提唱の「脱GDP」なぜいま?
ところが、このGDPを巡って、国際社会で新たな提案がなされ、注目を集めています。
グテーレス国連事務総長(6月)
「“脱GDP”によって、私たちは本当に重要なものを測ることができる。私たちの世界は巨大企業ではない」

6月、国連のグテーレス事務総長が、“GDPの限界”を指摘し、「脱GDP」を提唱したのです。
GDPは、森林伐採によって環境破壊が起きようが、工場でどれだけ化石燃料が使われようが、生産量が増えれば上昇し、経済成長にプラスとなります。

以前は指標として、国内での生産に限定しない「GNP=国民総生産」が使われましたが、その時代から、こうした指標には厳しい批判がありました。
1968年、アメリカのロバート・ケネディ元司法長官は、演説の中でこう語っています。
「GNPには人生を価値あるものにするものは、一つも入っていない」
ではなぜ、批判されながらも、GDP至上主義とも言える状況がこれまで続いてきたのか、経済思想家の斉藤幸平さんは…
東京大学大学院・斉藤幸平准教授
「戦争をやって兵器を売っても、GDPにはプラスに働くわけです。社会の平等とか自然の保全具合、そういうものは一切反映されない。資本主義にとって、GDPというのは一番都合がいいわけです」